黒崎愛海さん行方不明事件:最高裁が控訴審判決を破棄、審理差し戻しへ

フランス東部ブザンソンで2016年に筑波大学の黒崎愛海さん(当時21歳)が行方不明になった事件は、今もなお深い悲しみと謎に包まれています。殺人罪に問われた元交際相手のチリ人、ニコラス・セペダ被告(34歳)に対し、フランスの最高裁に当たる破棄院は2025年2月26日、控訴審判決(禁錮28年)を破棄し、審理を下級審に差し戻す決定を下しました。この事件の経緯と今後の展開について、詳しく見ていきましょう。

事件のあらまし:筑波大生、フランス留学中に謎の失踪

黒崎愛海さんは、将来への希望を胸にフランス・ブザンソンへ留学していました。しかし、2016年12月、突如として行方が分からなくなってしまったのです。彼女は当時、筑波大学に留学経験のあるセペダ被告と交際していましたが、留学直前に関係を解消していました。事件当日、チリからフランスを訪れていたセペダ被告と夕食を共にした後、黒崎さんは寮の自室に戻りましたが、その後、消息が途絶えました。彼女の遺体は未だに見つかっていません。

ニコラス・セペダ被告ニコラス・セペダ被告

複雑化する捜査:国際的な協力と長期にわたる法廷闘争

セペダ被告は黒崎さんと会った数日後にフランスを出国、チリへ帰国しました。フランス当局の要請を受け、チリ最高裁は2020年5月に身柄引き渡しを決定。同年7月にセペダ被告はブザンソンへ移送され、2022年4月に一審判決が下されました。

一審では禁錮28年の判決が言い渡されましたが、被告、検察側双方が控訴。2023年12月の控訴審でも一審と同じく禁錮28年が言い渡されました。しかし、今回の破棄院の決定により、事件は再び下級審での審理へと戻る事になりました。

黒崎愛海さんの部屋の入り口黒崎愛海さんの部屋の入り口

今後の展望:真実の究明と遺族の願い

事件発生から7年以上が経過し、未だに黒崎さんの行方は分かっていません。今回の破棄院の決定は、事件の真相解明に向けた新たな一歩となるのでしょうか。遺族にとっては、愛娘の無念を晴らすためにも、真実が明らかになることを切に願っていることでしょう。今後の裁判の行方、そして黒崎愛海さんの安否に、引き続き注目が集まります。