先の大戦の終戦前日に兵庫県香美町沖の日本海であった「香住沖海戦」で「最後の戦没艦」となった旧日本海軍の海防艦第13号の元水兵長、菅野昭さん(89)=東京都=が日米友好を祈念したメッセージが10月30日、同艦を撃沈した米潜水艦「トースク」を保存しているボルティモアの海事博物館の館長へ関係者によって手渡された。
海防艦第13号は昭和20(1945)年8月14日、トースクの魚雷攻撃を受けて沈没。地元の漁船が救助活動に当たったが、乗組員約200人のうち28人が戦死したといい、菅野さんが生存する唯一の元乗組員となっている。
戦後小学校教諭となった菅野さんの教え子で、戦地慰霊や戦跡調査を長年続けている島田潤さん(68)=東京都=が数年前にトースクが保存されていることを知り、高齢の菅野さんに代わって渡米した。
島田さんから海防艦第13号の説明を受けたクリストファー・ローソム館長(60)は「とても大切な歴史で、そこから学んでいくべきだ」と述べ、同艦のエピソードを来館者に伝えていくことを約束。島田さんは「菅野さんにしっかり報告したい。これを機に両国の友好が一層深まれば」と話した。 (ボルティモア=米東部メリーランド州 住井亨介)