7日告示された高知県知事選(24日投開票)は与野党の一騎打ちとなった。自民党は相次ぐ閣僚の辞任や直近の知事選で連敗した流れを断ち切ろうと党幹部が現地入りして必勝を期す。これに対し野党は共産党系新人を「統一候補」として支援し、次期衆院選での野党共闘に弾みをつけようとするが、与野党双方とも内部に不安を残している。
高知市で開かれた自民、公明推薦の新人、元総務省総括審議官の浜田省司氏(56)の出陣式には、自民党本部から下村博文選対委員長が駆け付け、支援を呼びかけた。
与党は7月の参院選以降、8月の埼玉、9月の岩手両県知事選で連敗した。国政では菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相が辞任。英語の民間検定試験の実施延期でも政権への逆風が強まっている。党内には「共産系候補に負けることは考えにくい」(ベテラン)との声もあるが、不安材料になっているのが、衆院高知2区の公認争いだ。
現職の尾崎正直知事は8月、知事選不出馬と次期衆院選に自民公認で出馬する考えを表明した。だが、2区は現職の山本有二元農林水産相=比例四国=の地盤で、山本氏は10月下旬の支援者らとの会合で「おいそれと譲るわけにはいかない」と、選挙区を死守する考えを示した。
県連会長の中谷元・元防衛相は今月1日、尾崎氏を擁立し、山本氏を比例単独候補に転出させる方針を党本部に伝達。二階俊博幹事長も「県連の意向を尊重する」との考えを示すが、山本氏側には不満がくすぶる。党幹部は尾崎氏について「公認をもらえるかは、知事選に勝ってからだ」と話しており、党として一枚岩になれるかが焦点だ。
一方、主要野党は無所属で立候補した共産党県常任委員の松本顕治氏(35)を全面支援する。共産、社民両党が推薦を出したほか、立憲民主党や国民民主党は県連推薦とし、野党が結束して勝利した岩手、埼玉両県知事選の再現を狙う。
立民や国民は共産が呼びかける野党連合政権の樹立に慎重な立場だが、次期衆院選で支援を得るべく恩を売ったとの見方がある。