日産自動車の内田誠社長兼CEOが退任する方向で調整が進んでいることが明らかになりました。業績悪化に加え、ホンダとの共同持ち株会社設立交渉が破談に終わったことを受け、経営責任を明確化し、新たなスタートを切るための人事刷新とみられています。
後任人事と再生計画
複数の関係者によると、日産はすでに内田氏後任の選定に着手しており、3月中旬に発表予定のターンアラウンド(再生計画)の詳細と合わせて、4月には幹部人事を刷新する見通しです。日産広報担当者はコメントを控えています。
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ゴーン元会長逮捕以降の混乱を経て、5年以上経営トップを務めてきた内田氏が退任すれば、日産にとって大きな転換期となります。自動車業界の競争激化の中、業績回復は道半ばであり、新たなパートナー探しを含め、次期トップには大きな課題が待ち受けています。
市場は退任を好感
この報道を受け、27日の東京株式市場では日産株が一時前日比5%高となるなど、市場は内田氏退任の可能性を好感しているようです。また、日産のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も低下しており、市場における同社への信用力が高まっていることを示唆しています。
パパンCFOが暫定CEOに?
ダイヤモンド・オンラインの報道によると、3月6日開催予定の指名委員会で社長人事が議論され、後任には暫定CEOとしてジェレミー・パパン最高財務責任者(CFO)が選出される見込みです。自動車業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「パパンCFOは財務面での手腕が高く評価されており、暫定CEOとして経営の安定化を図る上で適任と言えるでしょう」と分析しています。
課題山積の日産、次期トップの手腕に期待
日産は米国や中国市場での販売不振などにより業績が悪化。2025年3月期連結決算の純損益は800億円の赤字となる見通しで、タイなどでの工場閉鎖を含む大規模なリストラを進めています。ホンダとの提携破談も大きな痛手であり、次期トップにはこれらの課題を克服し、日産を再び成長軌道に乗せることが求められます。
自動車ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「次期トップには、変化の激しい自動車業界で生き残るための戦略を迅速に実行する能力が求められます。電動化、自動運転技術の開発、そして新たなアライアンス戦略など、取り組むべき課題は山積しています」と指摘しています。
日産の再生は、次期トップの手腕にかかっています。今後の動向に注目が集まります。