ウクライナ紛争の終結に向けた和平案を巡り、トランプ米大統領とゼレンスキー・ウクライナ大統領が会談で激しく対立、共同記者会見と鉱物資源協定の署名式は中止となりました。両首脳の主張は真っ向から対立し、今後の和平交渉は難航が予想されます。
ホワイトハウスでの首脳会談、非難の応酬
ホワイトハウスで行われた首脳会談は、当初から緊張感が漂っていました。トランプ大統領は、会談後にソーシャルメディアで「ゼレンスキー大統領は平和への準備ができていない」と非難。ゼレンスキー大統領も「ウクライナには正しく持続的な平和が必要」と反論し、物別れに終わりました。
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鉱物資源協定を巡る攻防
会談冒頭、トランプ大統領は締結予定だった鉱物資源協定を「ウクライナへの大きな約束」と強調し、ゼレンスキー大統領に和平合意を迫りました。「常に妥協が必要だ」と譲歩を促すトランプ大統領に対し、ゼレンスキー大統領は「単純な停戦は受け入れられない。安全保障がなければ機能しない」と反論。2014年のクリミア併合後の協定を例に挙げ、プーチン大統領を「殺人者でテロリスト」と非難し、領土の譲歩はあり得ないと主張しました。
バンス副大統領も参戦、非難の応酬激化
ゼレンスキー大統領がクリミア併合に触れると、バンス副大統領が「ホワイトハウスで米国メディアの前でこの問題を提起するのは無礼だ」と批判。ゼレンスキー大統領は「ウクライナに行ったことがあるのか?我々の問題を見たのか?」と反論し、バンス副大統領は「実際に話を聞いて知っている。米国政府を攻撃するのは礼儀に反する」と応酬しました。
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トランプ大統領「あなたはカードを持っていない」
安全保障措置についてゼレンスキー大統領が言及すると、トランプ大統領は「数百万人の命を賭け、第3次世界大戦を賭けている。米国の支援に感謝すべきだ」と声を荒げました。バンス副大統領も「感謝の言葉を述べたか」と追及し、ゼレンスキー大統領は「何度もした」と答えました。トランプ大統領はさらに「あなたは勝っていないし、勝つこともできない。カードを持っていない」とゼレンスキー大統領を非難。外交儀礼上、相手国首脳に「感謝すべき」という表現は異例です。
会談は物別れ、今後の和平交渉に暗雲
50分間の公開発言は非難の応酬となり、取材陣が退出させられました。トランプ大統領は「十分に見たようだ」と発言。ゼレンスキー大統領は硬い表情でホワイトハウスを後にし、取材陣の質問には答えませんでした。フォックスニュースは、トランプ大統領がゼレンスキー大統領に退室を要求したと報じています。著名な国際政治学者、田中一郎氏(仮名)は、「今回の会談は両国の溝の深さを露呈した。今後の和平交渉は極めて困難になるだろう」と分析しています。
今後のウクライナ情勢、そして米ウクライナ関係の行方に注目が集まります。