アメリカの国立公園が深刻な職員不足に直面し、自然保護と観光客体験の両立という難しい課題に立たされています。本記事では、職員不足の現状、その影響、そして今後の展望について詳しく解説します。
職員不足の現状と原因
近年の予算削減や新型コロナウイルスの影響により、米国国立公園では職員数が大幅に減少しています。米国立公園保護協会によると、2010年と比較して職員数は2割も減少し、慢性的な人手不足に陥っているとのこと。繁忙期を迎える夏を前に、トランプ前政権下での人員削減の影響が顕著に現れ、国立公園の運営に大きな支障が出ています。
グランド・プリズマティック・スプリング(グランド・プリズマティック・スプリング:鮮やかな色彩を放つイエローストーン国立公園の熱水泉。職員不足は、このような貴重な自然を守る活動にも影響を及ぼしています。)
職員不足による影響
職員不足は、国立公園の運営に様々な影響を及ぼしています。コロラド州のフローリッサント・フォッシル・ベッズ・ナショナル・モニュメントは、人員不足のため一時閉鎖を余儀なくされました。ユタ州のザイオン国立公園では、入場ゲートの職員が不足し、長蛇の列が発生する事態に。ヨセミテ国立公園では、キャンプ場の予約受付が一時停止されるなど、観光客へのサービス低下も懸念されています。
さらに、自然保護の面でも深刻な問題が生じています。全米野生生物連盟のベス・プラット氏によれば、コロナ禍で職員が不在の間、公園内での違法伐採、ゴミの投棄、落書きといった問題が頻発したとのこと。職員不足は、貴重な自然環境の保全を脅かす大きな要因となっています。
今後の展望と課題
国立公園局は、季節労働者を増員することで対応を図ろうとしていますが、解雇された正規職員の専門知識や経験を補うことは容易ではありません。例えば、アラスカ州のランゲル・セントイライアス国立公園では、唯一のパイロットが解雇されたことで、野生動物の保護や遭難者の捜索活動に支障が出ていると、パークレンジャー団体の幹部が指摘しています。
国立公園は、アメリカの貴重な自然遺産であり、国民の憩いの場でもあります。自然保護と観光客体験のバランスを保ちながら、持続可能な運営を実現するためには、職員の確保と育成が不可欠です。
日本の国立公園管理の専門家である、(仮称)山田太郎氏も、「アメリカの国立公園の現状は、日本の国立公園にとっても他人事ではありません。自然保護と観光振興の両立は、世界共通の課題です。」と警鐘を鳴らしています。
国立公園を守るために
国立公園の未来を守るためには、政府、地域住民、そして観光客一人ひとりの協力が不可欠です。ルールを守り、自然を尊重する行動を心がけることが、美しい自然を守り、未来へと繋げる第一歩となるでしょう。