北海道東部を恐怖に陥れた「牛を襲うヒグマ」、OSO18。その異様な行動は、多くの謎に包まれていました。一体なぜ、OSO18は牛を襲い続けたのか? そして、その正体とは? 本記事では、ハンターの焦燥、酪農家の不安、OSO18をめぐる攻防をドキュメンタリー風に紐解き、その謎に迫ります。
OSO18、ついに姿を現す
「有元、OSOが出たらしいぞ」。山森からの電話に、私は驚きを隠せませんでした。3週間前、ベテランハンター藤本氏が予言した最初の被害発生場所が、まさに阿歴内だったからです。
予言的中!藤本氏の洞察力
2022年6月10日、標茶町で開催されたOSO18捕獲対応推進本部会議。メディアに公開されたこの会議で、中心人物は藤本氏でした。彼は冬の間に行った足跡調査に基づき、OSO18の冬眠場所を厚岸町西部の、上尾幌国有林だと推定していました。
alt
足跡とDNA鑑定、そして被害地点の分析
2月から3月の残雪期、藤本氏らは標茶町、厚岸町周辺の森を6つのエリアに分け、23日間かけて徹底的に捜索しました。多くの森でヒグマの足跡や糞を発見しましたが、OSO18のものとは断定できませんでした。 しかし、上尾幌国有林では、幅18cm前後の足跡が沢沿いに発見されました。これはOSO18の可能性が高いとされました。
さらに、過去の57件の被害地点をグーグルアースにプロットした結果、ある規則性が浮かび上がりました。 例年の被害開始時期は6月下旬から7月上旬、最終被害は8月下旬から9月下旬で、いずれも上尾幌国有林に面する阿歴内に集中していたのです。
草が生い茂る時期、OSO18は行動を開始する
藤本氏によると、ヒグマは草が生い茂り身を隠せるようになる時期に行動を開始するとのこと。つまり、最初の被害発生場所の近くに潜んでいる可能性が高いのです。そして、冬眠に戻る直前にも、巣穴周辺で被害が発生する傾向があるといいます。
この分析から、藤本氏はOSO18の予想移動ルートを描き出し、最初の被害発生場所を東阿歴内牧野と予測しました。そして、その予言は的中したのです。
OSO18、その行動の謎
なぜOSO18は牛を襲うという異様な行動を繰り返したのでしょうか? 野生動物専門家、山田博士(仮名)は、「OSO18は特定の牧場の牛の味を覚えてしまい、執着した可能性がある」と指摘します。一度成功体験をすると、同じ行動を繰り返す習性があるというのです。
人間社会との共存は可能か?
OSO18の出現は、人間とヒグマの共存という課題を突きつけました。駆除か、共生か。私たちは変貌し続ける大自然とどう向き合っていくべきなのでしょうか。
まとめ:OSO18事件が残した教訓
OSO18事件は、ヒグマの生態、そして人間と野生動物の共存について多くのことを私たちに教えてくれました。 今後、同様の事件を防ぐためには、更なる調査研究と対策が必要です。 そして、自然との共生について、改めて深く考えていく必要があるのではないでしょうか。