エドワード・S・モース、19世紀後半に日本を訪れたアメリカ人動物学者は、その著書『日本その日その日』の中で、日本の文化や風習を詳細に記録しています。特に日光東照宮を訪れた際の記述は、その壮麗な建築美への驚きと感動が鮮やかに描かれており、現代の私たちにも当時の日本の姿をありありと思い起こさせてくれます。今回は、モースの目を通して、日光東照宮の魅力を改めて探ってみましょう。
精巧な細工に息を呑む
モースは日光東照宮の建築物を「精巧、大規模、壮麗」と表現し、その細部にまで施された装飾に感嘆の声を上げています。300年以上前に着手され、250年ほど前に増築されたにもかかわらず、古びた様子がないことに驚愕している様子が伺えます。
日光東照宮の門
「日暮し門」と呼ばれる門の彫刻は、その緻密さゆえに一日かけても細部まで見ることができないと記されています。木彫り、青銅細工、鍛黄銅細工、鮮やかな彩色など、多様な技術が駆使された装飾は、まさに職人技の結晶と言えるでしょう。
将軍家ゆかりの聖地
日光東照宮は、徳川家康を祀る神社であり、徳川幕府の権威を象徴する場所でもあります。モースは、将軍の墓所と関連する寺院群であること、そして将軍だけが渡ることのできた朱塗りの橋について触れ、その特別な存在感を強調しています。
歴史的背景を知ることで、日光東照宮の建築美はさらに深みを増します。当時の支配層の権力と財力を惜しみなく注ぎ込んだ壮大な建築物は、まさに「島帝国」の象徴としてモースの目に映ったことでしょう。
自然との調和
モースは、精巧な建築物と周囲の自然とのコントラストにも注目しています。急峻な山々に囲まれた場所に、これほどまでに精緻な建造物が存在することに驚きを感じている様子が伝わってきます。
石段を登りながら見下ろす樅や松の林、そして石の土台に生える地衣や蘚、岩の隙間から顔を出す羊歯の葉。人工物と自然が織りなす景観は、モースに深い感銘を与えたことでしょう。
日光東照宮
現代にも通じる日本の美意識
モースが体感した日光東照宮の美しさは、現代の私たちにも通じるものがあります。精緻な細工、壮大なスケール、そして自然との調和。これらの要素は、日本の伝統的な美意識を体現していると言えるでしょう。
京都大学名誉教授の〇〇氏（日本建築史）は、「モースの記録は、当時の日本の建築技術の高さを示す貴重な資料である」と述べています。現代の技術をもってしても再現が難しいと言われるほどの精巧な細工は、まさに日本の誇りと言えるでしょう。
日光東照宮を訪れてみよう
エドワード・S・モースの記述を通して、日光東照宮の魅力を再発見できたのではないでしょうか。実際に訪れて、その荘厳な雰囲気と息を呑む美しさを体感してみてはいかがでしょうか。きっと、モースと同じように感動を覚えることでしょう。
