社会学的皇室ウォッチング!/145 歴史・憲法の曲解はやめよ 不見識問われる国民民主党
◇これでいいのか「旧宮家養子案」―第43弾―
皇位継承に関する衆参両院各党派の全体会議での議論が続いている。女性皇族が結婚後も皇族であり続ける案には各党派の合意がほぼできているが、その夫と子の扱いには大きな溝がある。そのなかで夫と子を「准皇族」とする国民民主党の妥協案があるが、歴史と憲法を理解しない不見識な案と言わざるを得ない。(一部敬称略)
各党派による協議は昨年5月に開始され、中断ののち今年1月31日に再開された。2月17日に再開2回目が開かれている。
昨年9月26日の中間報告の段階では、①悠仁さままでの継承の流れはゆるがせにしないという点はおおむね賛同する意見が多かった②女性皇族の婚姻後の身分保持は、夫と子の身分について意見が分かれた③旧宮家養子案には積極意見も多かったが、反対論もあった――とまとめられた。今回は②について考えてみる。
立憲民主党は夫と子を皇族とする案を含めて検討すべきだと主張する。同じ家庭に皇族と一般国民が併存することの不適切さを指摘したものだ。同党衆院議員、馬淵澄夫が2023年2月10日の衆院内閣委員会で皇室の家族であることを利用したビジネス、宗教の布教、政治家への立候補などが自由にできてしまうと述べたとおりである。
一方、自民党は、子を皇族とすれば、将来の女系継承につながってしまうという理由で、女性皇族を皇室に残すとしても一代限りの措置とすべきだと主張する。
こうした情勢のもと存在感を示そうとしたのが国民民主党である。昨年6月19日の個別ヒアリングで代表、玉木雄一郎は、夫や子には皇籍を持たせないという前提は守るとしたうえで、「しかるべき地位と名誉を付与することは可能なのではないか」「平安時代のやり方を見習って一代限りのいわゆる准皇族ぐらいの緩やかな待遇でよいのではないか」と述べた。皇族の身分を付与するかどうかの議論を続けても、「結局合意が得られず時間だけ」が経(た)ち、女性皇族が「どんどん皇籍から抜けていかれる」ことを防ぐ折衷案だという。