【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は8日、貿易協議で中国が米政府に求めていた制裁関税の撤廃について、「何も合意したものはない」と記者団に述べた。中国政府が段階的な関税撤廃で米国側と合意したと発表したが、トランプ氏はこれを否定した形だ。部分合意に署名する米中首脳会談は米国での開催にこだわる意向を示した。
中国は米国に対し、12月に発動を予定する新たな制裁関税の見送りや、発動済みの関税を削減・撤回するよう米国に求めている。
トランプ氏はホワイトハウスで、対中関税の扱いは決まっていないと説明。その上で、「私が(関税を)全て取り下げることはないと中国も理解している。だから(中国は)一部の撤回を望んでいるのだろう」と話し、関税撤廃に消極的な考えを示した。
米政府高官からは、合意文書に署名できれば「一部撤回は可能だ」(グリシャム大統領報道官)とする指摘と、反対に「現時点で関税撤廃の合意はない」(ナバロ大統領補佐官)との相反する声が出ている。対中制裁関税の扱いをめぐり、米政府内で意見対立が生じている可能性もある。
一方、トランプ氏は合意文書の署名場所は「アイオワ州か(ほかの)農業が盛んな州になるだろう」と述べ、米国内での実施を望む姿勢をみせた。