山本太郎氏の軍師は「反緊縮」の立命館大・松尾氏 野党にじわり侵食


 れいわ新選組の山本太郎代表が最近、盛んに経済政策の軍師をアピールしている。消費税廃止という主要政策の源泉は、「反緊縮」を訴え増税反対の論陣を貼る立命館大の松尾匡教授だ。松尾氏の考えも参考にした大規模な財政出動と手厚い社会保障、消費税減税を組み合わせた特異な政策は「無責任」との批判も強いが、野党内では第一党の立憲民主党の牙城を脅かすほど、じわじわ支持者を増やしている。

 山本氏によると、旧自由党時代にNHK番組に出演した際、松尾氏の著書に影響を受けたと言及したところ、松尾氏がブログで反応。松尾氏にメールを送って直接、教えを請うたことで交流が始まったという。

 松尾氏を介して人脈が広がり、関西学院大の朴勝俊教授らからもレクチャーを受けることになった。山本氏は10月31日の講演で、一連の出合いを「消費税は止められるじゃないかと感じたきっかけだった」と振り返った。

 松尾氏は朴氏らと「ひとびとの経済政策研究会」と呼ばれる研究会を立ち上げている。研究会では、「裁量的な国家介入体制からの脱却」と、国民の暮らしに手厚く公金を使う「大きな政府」を両立させる経済政策を唱える。

 山本氏は消費税廃止について「ただのスローガンにしたくない」と語る。その上で「短期間で消費税を減税できる方法は野党で足並みをそろえることだ」として、次期衆院選で消費税率5%への引き下げを共通政策とした野党共闘を訴える。

 5%でまとまらない場合は「各所に(候補を)立てるしかない」と強硬姿勢もちらつかせ、野党第一党の立憲民主党などを揺さぶる。

 立民は野党内でれいわの影響力が強まることを警戒するが、山本氏と足並みをそろえる「減税派」は増えている。山本氏は10月30日、野党統一会派に参加する馬淵澄夫元国土交通相と「消費税減税研究会」を立ち上げ、落選中の野党系元議員ら40人弱が出席した。

 国債発行残高が900兆円に迫る一方、急激な少子高齢化で社会保障費の急増が見込まれる。そんな中で、大胆な財政出動を伴う政策の財源を「自国通貨(円)の借金を増やすなら破綻しない」などと説明する山本氏には「荒唐無稽でポピュリズムの極み」(自民党閣僚経験者)と批判も強い。

 ただ、自民党との政策の違いを極限化して対立軸を鮮明にする姿勢は、一定数の立民の支持層も切り崩している。山本氏が好印象を持つ共産党も減税に前向きな姿勢を示すだけに、立民幹部は、れいわが野党共闘の新たな軸になることを恐れている。(政治部 中村智隆)

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