米副大統領の発言が物議、英国のウクライナ和平維持部隊派遣構想を「適当な国」と揶揄か

米国のバンス副大統領が、英国とフランスが主導するウクライナ和平維持部隊派遣構想について、FOXニュースのインタビューで「適当な国(random country)」と発言し、英国から強い反発を受けています。この発言は、長年にわたり米国と共に世界平和のために尽力してきた英国への侮辱だと捉えられ、波紋を広げています。

バンス副大統領、ウクライナ和平維持部隊派遣構想に疑問呈す

バンス副大統領は、FOXニュースのインタビューで、ウクライナにおける米国の経済的利益を優先すべきだと主張し、30~40年も戦闘経験のない「適当な国」の部隊派遣は有効な安全保障策ではないと発言しました。この「適当な国」は、英国とフランスを指していると解釈され、英国政界から批判が噴出しています。

英国の国旗と兵士英国の国旗と兵士

バンス氏は、トランプ大統領の意向に沿って、ウクライナのレアアースなどの鉱物資源確保を重視する姿勢を見せており、米軍の派遣には消極的です。一方、欧州では、停戦後のウクライナに3万人規模の平和維持部隊を派遣する構想が浮上しており、英国が中心的な役割を担うと見られています。

英国、バンス副大統領の発言に猛反発

英国では、アフガニスタンやイラクでの軍事介入において、長年にわたり米国と緊密に連携してきた歴史があります。バンス副大統領の発言は、こうした英国の貢献を軽視するものとして、与野党双方から非難の声が上がっています。野党・保守党のカートリッジ下院議員は「非常に無礼だ」と批判し、スターマー首相も、イラクやアフガンで任務に就いた英国兵への敬意を表明しました。一部からはバンス氏への謝罪要求も出ています。

バンス副大統領、釈明に追われるも火に油?

批判の高まりを受け、バンス副大統領はX(旧Twitter)で釈明に追われました。バンス氏は、特定の国を名指ししたわけではないと弁明しつつも、「率直に言って、支援を申し出ている国々の中には、戦場経験も軍備も十分でない国が多い」と述べ、更なる物議を醸しています。

国際政治アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「バンス副大統領の発言は、同盟国との関係を悪化させるリスクがある」と指摘しています。「米国第一主義」を掲げるトランプ政権下で、同盟国との摩擦が生じることは少なくありませんが、今回の発言は、今後の国際協調に影を落とす可能性があります。

欧州内でも温度差、ウクライナ和平維持部隊派遣構想の行方は

2日にロンドンで開催された欧州首脳会議では、複数の国が平和維持部隊の派遣に前向きな姿勢を示しましたが、イタリアのメローニ首相は不参加を表明するなど、欧州内でも温度差が見られます。ウクライナ和平維持部隊派遣構想の行方は、今後の国際情勢を大きく左右する重要な要素となるでしょう。

今回のバンス副大統領の発言は、ウクライナ和平維持部隊派遣構想だけでなく、米英間の関係にも影響を与える可能性があります。今後の展開に注目が集まります。