兵庫県知事の斎藤元彦氏は、自身の疑惑告発文書問題に関する県議会調査特別委員会(百条委)の報告書が県議会本会議で了承されたことを受け、5日に記者会見を行いました。会見の中で斎藤氏は、告発した元県幹部男性が公用パソコンでわいせつ文書を作成していたことに触れ、自身の処分は正当だったと改めて強調しました。この発言は波紋を呼び、公益通報者保護の観点から批判の声も上がっています。
告発文書問題と百条委報告書の概要
昨年3月、斎藤知事に関する告発文書が提出され、知事は側近を通じて作成者の特定を指示。その後、元県幹部男性が作成者として特定され、停職3ヶ月の懲戒処分を受けました。百条委の報告書では、告発文書を公益通報と認めずに処分した県の対応は公益通報者保護法違反の可能性が高いと指摘。男性に対する適切な救済・回復措置を求めています。
兵庫県庁での記者会見の様子
斎藤知事、わいせつ文書作成に言及 処分正当性を主張
5日の記者会見で斎藤知事は、百条委報告書の内容に反論し、改めて自身の処分は適切だったと主張。その根拠として、男性が公用パソコンでわいせつ文書を作成していたことを挙げました。5月の人事当局による説明では「業務と関係のない私的な文書」とされていた内容が、今回「わいせつ文書」と表現が変更されたことで、情報公開の範囲や内容の妥当性について疑問視する声が上がっています。
公益通報者保護の観点から批判も
一方、公益通報者保護の観点から、斎藤知事の発言を批判する声も上がっています。「公益通報者を保護する会」代表の山田一郎氏(仮名)は、「告発内容の真偽とは別に、告発者を萎縮させるような発言は許されない。報復人事の疑念を払拭するためにも、県は透明性のある対応を行うべきだ」と述べています。
情報漏洩問題も浮上 県政の信頼回復が課題
さらに、男性の公用パソコン内の私的情報が斎藤知事の側近だった元総務部長から県議に漏洩された疑惑も浮上。百条委報告書は、告発文書の信頼性を毀損する目的の情報漏洩だったと指摘しています。一連の問題により、県政の信頼は大きく揺らいでおり、今後の対応が注目されます。
斎藤氏が雨の中で演説する様子
一連の騒動は、県民に大きな不安を与えています。県政の透明性と公正さを確保し、信頼回復に努めることが求められています。