コメ価格の高騰が続いています。政府は備蓄米の放出を決定しましたが、価格が下がる見込みは薄いのが現状です。一体なぜコメ不足は起こり、私たちはこれからどう向き合っていくべきなのでしょうか？この記事では、コメ価格高騰の真の原因を探り、今後の見通しについて解説します。
コメ不足の本当の原因
政府は当初、「新米の収穫時期になれば価格は落ち着く」と説明していました。しかし、新米が出回っても価格は下がり続けず、政府は「集荷量が昨年を下回ったことが原因」と説明を変えました。しかし、集荷量は農協を通じた量しか反映しておらず、農家が直接販売したコメは含まれていません。そのため、集荷量の減少だけでコメ不足を説明するのは不十分です。
コメの稲穂
一部では、中間業者が投機目的でコメを買い占めているという指摘もありますが、これは正確ではありません。中間業者が在庫を確保しているのは、外食産業などへの安定供給を維持するためです。
コメ市場の構造変化と需要の急増
日本のコメ市場は縮小傾向にあり、一人当たりの年間消費量は昭和時代と比べて半分に減少しています。このような小さな市場では、わずかな需要変動でも価格が大きく変動しやすくなります。
コロナ危機の終息に伴い、外国人観光客が急増し、寿司や牛丼などの需要が拡大しました。この需要増が、コメ不足と価格高騰の大きな要因となっています。飲食店にとって、コメはなくてはならない食材です。そのため、価格が高騰しても安定供給を確保するために、中間業者からコメを仕入れようとするのは当然の行動です。
寿司
コメ不足への対策と今後の展望
コメの生産量は短期間で増やすことは難しいため、来年以降も不足が続く可能性が高いです。この状況下では、中間業者は在庫を確保せざるを得ず、コメ不足は慢性的な問題となるでしょう。
食糧問題の専門家である山田一郎氏（仮名）は、「生産コストの上昇も無視できない。農家が生産を維持できる価格設定が不可欠だ」と指摘しています。
食糧管理制度の廃止と新たな課題
かつての日本では、食糧管理制度によって政府がコメの価格と生産量を管理していました。しかし、この制度は「税金の無駄遣い」などの批判を受け、1995年に廃止されました。市場原理に委ねられた結果、需要変動による価格高騰という問題が生じています。
私たちにできること
今、私たち消費者は、コメの価格高騰という現実を直視し、今後の対策について真剣に考える必要があります。税金を投入して価格を安定させるか、ある程度の価格上昇を受け入れるのか。国民的な議論が必要な時期に来ています。
コメ不足は、私たちの食生活に直接影響する重要な問題です。今後の動向に注目し、持続可能な食糧システムの構築に向けて、私たち一人ひとりができることを考えていきましょう。
