【シンガポール=森浩】インド最高裁は9日、ヒンズー教とイスラム教が帰属をめぐって対立していた北部ウッタルプラデシュ州アヨディヤの聖地について、ヒンズー教寺院の建設を認める判断を示した。国内のイスラム教徒の反発は必至で、抗議活動に発展する可能性もある。
アヨディヤにはイスラム系王朝だったムガル帝国時代の1528年にモスク(イスラム教礼拝所)が建立されたが、ヒンズー教徒側は「以前はヒンズー教寺院があった」と主張。1992年に2万人以上のヒンズー教徒がモスクを破壊し、宗教対立に発展した。一連の衝突で約2千人が死亡したとされる。
最高裁は9日の判決で、土地はヒンズー教グループに引き渡されるとし、政府の管理下で寺院を建設するよう求めた。イスラム教徒グループには「別の土地が提供される」とした。
モディ首相は2014年の総選挙で、この土地でのヒンズー教寺院建設を公約にしていた。モディ氏は判決について「誰の勝利でも敗北でもない」として平静を呼び掛けたが、ヒンズー教至上主義を掲げる政権には一定の追い風になるとみられる。