乳がんは、日本で女性が最も罹患するがんです。9人に1人が生涯で経験すると言われ、早期発見と適切な治療が重要です。今回は、乳房を切除しない最新の治療法「ラジオ波焼灼療法」と、治療後の心のケア、そして患者さんを支える取り組みについてご紹介します。
ラジオ波焼灼療法とは？
ラジオ波焼灼療法の説明図
埼玉医科大学総合医療センターで治療を受けた40代の高橋和香子さん。彼女は2024年に乳がんと診断されましたが、乳房を切除しない「ラジオ波焼灼療法」を選択しました。
この治療法は、がん細胞にラジオ波の針を刺し、電子レンジのように熱で焼き切るという画期的なものです。施術時間はわずか10分程度。埼玉医科大学総合医療センターブレストケア科の北條隆教授は、「針を刺して熱でがん細胞を焼いてしまう治療法です」と説明しています。
切らずに針を刺すだけ。身体への負担が少ない
ラジオ波焼灼療法の施術の様子
エコー画像でがんの位置を確認し、そこに針を刺して焼き切ります。切開を伴わないため、身体への負担が非常に軽いです。治療痕は脇の下に小さな針穴が残る程度です。
治療前後のエコー画像比較
治療前後のエコー画像を比較すると、がんが焼けて空洞になっているのが分かります。北條医師は、「術後の検査でもがんは何もなく、順調です」と高橋さんの経過を評価しています。
早期発見が鍵。自分自身でチェックを
ラジオ波焼灼療法からもうすぐ1年になる高橋さん。早期発見のおかげでこの治療を受けることができたと語っています。「お風呂に入った時にしこりに気づきました。触ると硬かったです」と、自己検診の重要性を強調しています。
治療後のケアとサポート体制の拡充
乳がんの治療は、身体的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいものです。治療後の生活への不安や、再発への恐怖など、様々な悩みを抱える患者さんも少なくありません。
近年、医療機関だけでなく、患者会やNPO団体などによるサポート体制も充実してきています。心のケアや生活指導、就労支援など、様々なサービスが提供されており、患者さんが安心して治療に専念できる環境づくりが進んでいます。
専門家の声
乳がん治療の専門家であるAクリニックの山田医師（仮名）は、「ラジオ波焼灼療法は、早期乳がんの患者さんにとって、身体的にも精神的にも負担の少ない有効な治療法です。早期発見のために、定期的な乳がん検診と自己検診を心がけてください」とアドバイスしています。
まとめ
乳がんの治療法は日々進歩しています。ラジオ波焼灼療法のような低侵襲な治療法も登場し、患者さんの選択肢が広がっています。早期発見と適切な治療、そして充実したサポート体制によって、乳がんを克服し、自分らしく生きる女性が増えることを願っています。
