韓国における自殺者数が、2011年以来13年ぶりの高水準に達したことが明らかになりました。深刻な社会問題として、改めて注目が集まっています。特に50代が最も多く、若年層の増加も懸念されています。
韓国の自殺に関する統計データ
韓国生命尊重希望財団と韓国統計庁の発表によると、2024年の自殺者数は暫定値で14,439人。これは、前年比で3.3%増加しており、2年連続の増加となります。1日あたり約40人が自ら命を絶っている計算になります。
韓国の自殺者数の推移
人口10万人あたりの自殺率は28.3人と推定され、2013年以来11年ぶりの高水準となっています。2017年、2022年には一時減少したものの、再び増加傾向に転じています。
男女別・年齢別の自殺者数
男性の自殺者数は女性の2倍以上で、10,341人。女性は4,098人でした。前年比では男性が6.1%増加した一方で、女性は3.1%減少しています。
年齢別では、50代が全体の21.0%を占めて最も多く、次いで40代(19.0%)、60代(16.5%)、30代(13.4%)と続いています。特に30代の増加率が11.6%と最も高く、40代(9.0%増)、50代(8.4%増)と、壮年層の増加が顕著です。
政府の取り組みと課題
韓国政府は、この深刻な状況を打開するために様々な対策を講じています。2023年には「精神健康政策革新案」を発表し、10年以内に自殺率を2022年の半分に減らすという目標を掲げました。
自殺予防事業への取り組み強化
保健福祉部は、全国の地方自治体と連携し、自殺未遂者や遺族への支援策などを強化しています。ハイリスク層への重点的な支援が重要課題となっています。
精神科医のキム・ヨンジン氏(仮名)は、「経済的な不安や社会的な孤立感が自殺の大きな要因となっている」と指摘しています。「特に、コロナ禍の影響で経済的に困窮する人が増え、精神的な負担が増大していることが懸念される」と述べています。
今後の展望
自殺問題の解決には、社会全体での取り組みが不可欠です。政府の政策だけでなく、企業や地域社会、そして個々人が互いに支え合うことで、この深刻な問題を克服していく必要があると言えるでしょう。
政府の取り組みの成果が期待される一方で、長期的な視点での対策が必要不可欠です。社会全体の意識改革、相談体制の充実、そして経済的な支援策など、多角的なアプローチが求められています。