「ばけばけ」脚本家が語る:衝撃「丑の刻参り」と「シジミ汁」の深層【朝ドラ】

連続テレビ小説『ばけばけ』は、島根県松江の没落士族の娘・トキ(高石あかり)と外国人夫・ヘブン(小泉八雲がモデル)の物語。いよいよ第5週を迎え、ついに二人の運命的な出会いが松江で描かれます。初回放送で大きな話題となった「丑の刻参り」の衝撃的な導入や、作中に頻繁に登場する「シジミ汁」に込められた意図について、脚本家ふじきみつ彦氏が独占インタビューで明かしました。

物議を醸した「丑の刻参り」導入の背景

ドラマは、ヒロイン・トキ一家が藁人形を木に打ち付ける「丑の刻参り」という、これまでの朝ドラにはない異例のシーンで幕を開け、SNSで瞬く間に大きな反響を呼びました。脚本家のふじきみつ彦氏は、ちょうど撮影日に現場に立ち会い、「顔合わせの翌日というタイミングでしたが、出演者の皆さんが非常にノリ良く演じてくださり、私自身も手応えを感じました」と、当時の様子を振り返ります。

朝ドラ「ばけばけ」で主人公トキを演じる高石あかり。松江での運命の出会いを前にした複雑な心情を表現朝ドラ「ばけばけ」で主人公トキを演じる高石あかり。松江での運命の出会いを前にした複雑な心情を表現

周囲からの「縁起が悪い」といった反対意見が懸念される中、脚本家の耳にはそうした声は届かなかったとのこと。「もしかしたらNHKの制作統括の人にはすごい届いているかもしれませんが…(笑)」と裏話を明かしつつ、「放送後には『面白かった』という肯定的な意見が多数寄せられました」と、視聴者からの好意的な反応があったことを語りました。

脚本家自身のルーツが息づく「シジミ汁」の意味

作中でヒロイン・トキが大好きな食べ物として、そして家族の食卓に欠かせない存在として頻繁に登場するのが「シジミ汁」です。この料理が選ばれた意図について尋ねると、ふじき脚本家は自身の意外なルーツを明かしました。「実は私自身、シジミ汁には特別な思い入れがある料理でして。母の実家が松江にあり、私自身も里帰り出産で松江で生まれたんです」。制作統括も知らなかったという、まさに偶然の一致だったと言います。

小学生の頃は長期休暇の度に年3回ほど松江の祖父母宅を訪れ、朝食には決まってシジミ汁が出てきた記憶が鮮明にあるとのこと。「庭には食べ終わった貝の殻が撒いてありましたね」と懐かしみ、松江を舞台に書く上でシジミ汁はごく自然に物語に登場したと語ります。今後も『ばけばけ』の物語の中で、このシジミ汁が大切な意味を持つ食べ物になっていくだろうと強調しました。


『ばけばけ』は、衝撃的な導入から日常の「シジミ汁」に至るまで、脚本家ふじきみつ彦氏の深い洞察と個人的な背景が巧みに織り込まれた作品です。単なる歴史ドラマに留まらない、その多層的な物語は、今後の展開でさらに視聴者を魅了することでしょう。


出典: Yahoo!ニュース / 集英社オンライン