ウクライナ情勢緊迫:ロシアの猛攻激化、米情報支援中断の影

ウクライナ情勢が再び緊迫化しています。ロシア軍の攻撃が激化し、多くの犠牲者が出ている中、アメリカの軍事情報支援の中断が影を落としているとの指摘も出ています。jp24h.comでは、この複雑な状況を詳しく解説し、今後の展望を探ります。

ロシア軍の攻撃激化、ウクライナ全土で被害拡大

ロシア軍の攻撃が激化し、ウクライナ全土で被害が拡大しています。BBCの報道によると、8日には少なくとも25人が死亡したとされています。ゼレンスキー大統領はX(旧Twitter)で、ロシア軍によるドネツク州ドブロピリアへの弾道ミサイル攻撃で11人が死亡、子供6人を含む約40人が負傷したと報告しました。住宅やショッピングセンター、エネルギー施設なども攻撃を受け、被害は深刻な状況です。

alt ドネツク州ドブロピリアの被災状況。破壊された建物と瓦礫の山が悲惨な状況を物語っています。alt ドネツク州ドブロピリアの被災状況。破壊された建物と瓦礫の山が悲惨な状況を物語っています。

米情報支援中断の影響は?

米ABC放送によると、今回の空襲は、米国がウクライナ軍への衛星写真の共有を中断してから24時間も経たないうちに開始されました。米地理空間情報局(NGA)も、ウクライナの衛星写真照会サイトへのアクセスを一時的に制限したことを認めています。ウクライナはこれまで、ロシアの長距離ミサイルやドローン攻撃に対する早期警報システムを、米国の情報に依存して運用してきました。しかし、トランプ前大統領とゼレンスキー大統領の対立をきっかけに軍事情報支援が中断され、ウクライナの防空網が弱体化したとの見方が広がっています。

クルスク地域奪還、ロシアの反撃

AFP通信は8日、ウクライナが占領していたクルスク地域の3分の2以上をロシアが奪還したと報じました。ロシア国防省は、3つの集落を追加で奪還したと発表しています。クルスクは、昨年8月にウクライナが奇襲攻撃で占領したロシア本土の地域です。ウクライナは一時、1000平方キロメートル近いクルスクの領土を占領していましたが、ロシア軍の反撃により統制権の一部を失いました。AFP通信は、戦争が重要な局面に入ったと分析しています。

トランプ前大統領の親ロシア的発言

米国の措置がロシアの攻勢を招いたという批判が高まる中、トランプ前大統領は親ロシア的な発言を続けています。7日には、ロシアのプーチン大統領が米国の支援中断を戦争に利用していると思うかとの記者の質問に対し、「誰でもその立場ならそうするだろう」と擁護しました。この発言の数時間後、ロシアはウクライナへの空襲を開始しました。

国際社会の反応

ポーランドのトゥスク首相はXで、「ウクライナの悲劇的な夜がまた一日過ぎた。誰かが野蛮人の要求を聞き入れてなだめれば、このようなことが起きる」と投稿しました。エストニア首相を務めたカッラスEU外務・安全保障政策上級代表は、「容赦のないロシアのミサイルは、プーチン大統領が和平に関心がないことを示している」と指摘しました。

サウジアラビアでの高官級会談に期待

米国とウクライナの代表団は11日、サウジアラビアのジェダで高官級会談を行う予定です。ゼレンスキー大統領は8日、「10日に私はサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談する。11日には米国とウクライナの高官級会談が開かれる」と発表しました。「我々は建設的な対話に全面的に献身している。必要な決定について議論し、合意することを望む」と述べています。ウクライナ側からはイェルマク大統領府秘書室長、シビハ外相、ウメロフ国防相らが出席する予定です。米国側からはルビオ国務長官、ウォルツ大統領補佐官、ウィトコフ中東特使らが出席する予定です。この会談が、事態の打開につながることを期待したいところです。