兵庫県斎藤元彦知事を巡る数々の疑惑について、県議会調査特別委員会(百条委)が調査を行い、パワハラ疑惑などで“クロ判定”を下す報告書をまとめました。しかし、斎藤知事は報告書の内容を「一つの見解」と片付け、指摘を受け入れず、亡くなった告発者の私的情報公開を示唆するなど、反撃の姿勢を見せています。この事態を受け、県政の混乱は収束するどころか、ますます深まっている現状をお伝えします。
百条委報告書の内容とは?
百条委の報告書は、斎藤知事のパワハラ疑惑や物産品のおねだり疑惑などを「一定の事実」と認定しました。また、2023年11月の阪神タイガース・オリックス・バファローズの優勝祝賀パレードに関連し、協賛金を出した金融機関に県が国庫補助金を増額すると約束した疑惑についても、真偽は判断できないものの、県関係者が背任罪などで立件された場合、知事は管理責任を重く受け止めて対処するよう求めています。
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さらに、疑惑を告発した元西播磨県民局長Aさん(60歳、故人)への対応についても、報告書は厳しい見方を示しています。Aさんが匿名で外部に疑惑を発信した直後、斎藤知事は当時の片山安孝副知事(昨年7月に辞職)らに発信者探しを命じ、特定されたAさんに懲戒処分を下しました。この一連の行動について、報告書は「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」と断定しています。
斎藤知事の反論と県政の行方
斎藤知事は報告書の内容に対し、パワハラについては「業務上必要な範囲で、社会通念上の範囲内での指導や指摘」だったと主張し、正当化しました。Aさんへの懲戒処分についても、告発文書は「誹謗中傷性の高い文書」であり公益通報には当たらないという従来の主張を繰り返し、手続きに問題はないと述べています。
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著名な行政法学者であるB教授(仮名)は、「公益通報者保護法の趣旨は、組織内部の不正を明るみに出すことで、健全な組織運営を促進することにあります。今回のケースでは、告発内容の真偽や告発方法の妥当性とは別に、告発者を特定し懲戒処分を下したことは、公益通報を萎縮させる可能性があり、法の趣旨に反すると言えるでしょう」と指摘しています。
斎藤知事の再選後、県議会は知事に対して強く出ることができず、当面静観の構えです。しかし、県庁内では知事への不信感が高まっており、県政の混乱は長期化する様相を見せています。今後の展開が注目されます。