2025年10月27日、アメリカのトランプ大統領が天皇陛下と約6年半ぶりに皇居・御所にて対面しました。この重要な日米首脳会談の場において、トランプ氏が見せた一連の行動が日本国内外で大きな物議を醸し、特にソーシャルメディア上では「不敬にあたる」との厳しい声が多数寄せられています。国際的な要人との交流における文化の違いや、日本の皇室に対する特別な敬意が改めて問われる形となりました。
陛下への度重なる「ボディタッチ」と「グレイトマン」発言
この日、天皇陛下はトランプ氏を玄関で自ら出迎え、笑顔で握手を交わされました。しかし、その握手の際、トランプ氏は右手で陛下と握手しながら、左手で陛下の二の腕に繰り返し触れる様子が見られました。全国紙政治部記者によると、さらにその後の御所への入室時にも、陛下の背中を頻繁に触りながら中へと進んでいったといいます。
この度重なる天皇陛下への「ボディタッチ」に対し、インターネット上ではすぐに怒りの声が続出。「握手時に目下に対する態度で不敬」「気安く触らないでほしい」「天皇陛下の存在を理解していない」といった意見が飛び交いました。大阪府東大阪市議会議員のいとうゆうき氏も自身のX(旧Twitter)で「どう見ても非礼だ」と投稿するなど、波紋は広がる一方です。
御所から陛下とともに出てきた際にも、トランプ氏は報道陣の前で隣に立つ陛下を指差しながら、繰り返し「グレイトマン(立派な方だ)」と述べました。これらの行動は、アメリカ式の親愛の表現と解釈することもできますが、日本の皇室が持つ歴史的・文化的な重みを考慮すると、多くの日本人にとっては違和感のあるものだったようです。
天皇陛下と握手を交わす際、二の腕に触れるトランプ大統領の様子。日米首脳会談時の国際儀礼が議論を呼んだ。
スーツのボタン問題と安倍元首相の「助言」
トランプ氏の行動で注目されたのは、ボディタッチだけではありませんでした。御所に到着した専用車から降りる際、トランプ氏はスーツのボタンを留めようとしましたが、最終的には留めずに諦めてしまいました。会見中やその後の握手時にはボタンが閉まっていたものの、陛下への最初の挨拶時はボタンが全開のままで臨んだと報じられています。
この「スーツのボタン」を巡る問題には、実は前例がありました。書籍『安倍晋三回顧録』によると、2019年に初めて陛下に会う前、トランプ氏が当時の安倍晋三首相(元総理大臣)にこの件で相談していたことが明らかになっています。安倍氏はトランプ氏から「シンゾウは私と会うとき、いつもスーツのボタンをしているけれど、私もした方がいいか」と問われ、「私の前ではしなくてもいいが、陛下の前ではボタンを留めてくれ」と具体的に助言したと記されています。今回の行動は、その助言を慌てて実行しようとして間に合わなかった可能性も指摘されており、トランプ氏側にも一定の配慮があったことが窺えます。
国際儀礼と日本の皇室文化:深まる議論
アメリカではフランクな対応が親愛の情を示す一般的な表現ですが、日本では皇室に対する深い敬意と伝統的な国際儀礼が重んじられます。天皇陛下は、国民統合の象徴であり、そのご存在は政治的立場を超えて日本社会に深く根付いています。そのため、陛下との接見においては、より一層の礼儀と配慮が求められるのが日本の慣習です。
今回のトランプ氏の一連の行動は、国際的な場面における異文化理解の難しさと、各国の「敬意」の表現方法の違いを浮き彫りにしました。親密さと敬意のバランスは、特に皇室外交のようなデリケートな場面では極めて重要であり、今後も国際交流における文化的な配慮のあり方が議論されることでしょう。
結論
トランプ大統領の天皇陛下ご接見時の一連の行動は、その意図が親愛の表現であったとしても、日本の文化や皇室に対する国民の感情に照らし合わせると、「不適切」「非礼」と受け取られる側面が強く、国内外で大きな波紋を呼びました。国際社会において多様な文化背景を持つリーダーが交流を深める中で、それぞれの国の歴史や伝統、そして国民感情を理解し尊重することの重要性が改めて示された出来事と言えます。日米関係の深化とともに、相互理解を深める努力が引き続き求められるでしょう。
参考文献
- 全国紙政治部記者による証言
- 書籍『安倍晋三回顧録』
- 大阪府東大阪市議会議員 いとうゆうき氏のX(旧Twitter)投稿
- Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/097ba53365bddc5e6a65de4db3ec2ffdfa3bdbeb)





