国内最大級の違法スカウト集団「ナチュラル」を巡る新たな事件が発覚しました。警視庁暴力団対策課は11月19日までに、グループメンバーである山阪恵斗容疑者(26)ら3人を逮捕監禁容疑などで逮捕。この事件は、羽田空港で20代の元メンバー男性が車内に監禁された疑いが持たれており、「ナチュラル」内部のトラブルが表面化したものとして注目を集めています。警察当局は、巨大化した組織の壊滅に向け、捜査の手を一層強めています。
羽田空港での監禁事件の全貌
捜査関係者によると、今年6月19日、山阪容疑者ら3人は羽田空港で、当時「ナチュラル」のメンバーであった20代男性Aさんを取り囲み、「なんで連絡ばっくれてんだよ」などと因縁をつけました。その後、男性をターミナルビル前の路上に駐車した車に監禁した疑いが持たれています。この事件の背景には、Aさんが渡航先のフィリピンで違法薬物や詐欺に関与しているのではないかという情報が別の仲間から寄せられ、帰国日に空港で待ち伏せしていたとされています。
事件は、警視庁東京空港署の署員が空港駐車場内で不審な車に職務質問を行った際、Aさんが助けを求めたことで発覚しました。山阪容疑者ら3人は11月17日までに身柄を拘束され、警察車両で東京空港署に移送されました。その際、山阪容疑者だけが報道陣に対し、両手の中指を突き立てて威嚇するような態度を見せ、感情を露わにしたといいます。一方、宮園泰成容疑者(25)と中田アレクサンドル容疑者(24)は表情を変えず、冷静な様子だったと報じられています。
報道陣に中指を突き立て威嚇する「ナチュラル」の山阪恵斗容疑者
違法スカウト集団「ナチュラル」を巡る広がる捜査の網
「ナチュラル」を巡っては、今回の監禁事件以外にも複数の動きがあります。11月12日には、警視庁暴力団対策課の警部補・神保大輔容疑者(43)が「ナチュラル」に捜査情報を漏洩したとして、地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕される事件が発生しました。
さらに、11月18日には、別の「ナチュラル」幹部の裁判員裁判が東京地方裁判所で開かれました。この幹部は、グループの規約に違反した男性を監禁し、暴行とわいせつ行為を加えたとして強制わいせつ致傷と監禁の罪に問われており、検察側は懲役6年を求刑しています。これらの事件は、「ナチュラル」に対する警察の捜査が多角的に進められていることを示しています。
犯罪ジャーナリストが語る「ナチュラル」の現状と警察の攻防
元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は、「ナチュラル」の現状と今後の捜査について見解を述べています。同氏によると、「ナチュラル」はここ数年で急激に巨大化し、組織内部での統率が困難な状態に陥っているといいます。これが、今回の仲間内での暴行・監禁事件のような「綻び」として表面化していると分析しています。
小川氏は、警察が「ナチュラル」壊滅のために本気で捜査に臨んでおり、組織内部に食い込んで情報を得るための捜査も行っていると指摘。今回逮捕された警部補も、本来はそのような役割を担っていた可能性があるとしながらも、残念ながら「ナチュラル」側に懐柔されてしまったと述べています。しかし、小川氏は同時に、「ナチュラル」側が捜査関係者に自ら近づき情報を聞き出そうとする状況は、彼らが「追い詰められている」証拠であるとの見方を示しています。警察と「ナチュラル」の間での激しい攻防は今後も続くと予想され、同様の事件が増加する可能性も示唆されています。
「ナチュラル」壊滅に向けた捜査の手は着実に伸びており、巨大化する違法組織に対する社会の目は厳しさを増しています。今後の捜査の進展が注目されます。




