途上国支援などを行う米政府の海外民間投資公社(OPIC)のデイビッド・ボヒギアン代表代行は11日までに都内で産経新聞の取材に応じ、米日豪でインフラ支援に関する基準を策定し、投資規模を拡大させながらインド太平洋地域での途上国支援を強化していく方針を明らかにした。中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の対抗軸となる米国のインド太平洋戦略を強化する。
ボヒギアン氏は、米日豪でインフラ支援に関する基準を設け、友好国などと質の高い支援を促進させる取り組み「ブルー・ドット・ネットワーク」を立ち上げることを表明。すでに「数十カ国から関心が示されている」と述べ、米日豪を核にして参加国の拡大を図る考えを示した。
支援基準では「途上国の主権を守り、過剰債務に陥らないように、地域の労働者に仕事を提供する」ことなどを強調。過剰な投融資で返済に窮した国がインフラを奪われる「債務のわな」が問題となっている中国の支援と異なることをアピールした。
OPICの組織改編で投資上限が現在の約2倍となる600億ドル(約6兆5400億円)になることを踏まえ、「われわれは今後6年間で数十億ドル超を投資していく」と説明。インド太平洋地域で支援を拡大する方針を示した。
ボヒギアン氏は、同地域で重視する具体的な国名は明らかにしなかったものの、「日本の首相官邸と共通の優先事項を協議した」と述べた。
ブルー・ドット・ネットワークで日本のカウンターパートである国際協力銀行(JBIC)とは「これまでで最も強力な協力関係にある」と語った。
さらに「21世紀において情報・通信技術は各国の新たなインフラとして極めて重要な分野だ」と指摘。中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品導入で情報漏(ろう)洩(えい)が懸念される第5世代(5G)移動通信システムの構築も積極的に支援していく考えを示した。韓国の大手通信企業幹部らと会談し「インド太平洋地域における通信インフラの展開」に関して協議を進めていることも明らかにした。