元慰安婦訴訟、13日に弁論 日本政府は「主権免除」で欠席へ 





ナムサン市立図書館前に新たに設置された慰安婦像の前で取材に応じる「元慰安婦」の女性の李容洙(イ・ヨンス)さん=2019年8月14日、ソウル(古厩正樹撮影)

 【ソウル=名村隆寛】韓国人の元慰安婦やその遺族らが日本政府を相手取った訴訟の弁論期日となる13日、ソウル中央地裁で裁判が開かれる。被告とされた日本政府は、外国政府が他国の裁判を受けるのを免除する「主権免除の原則」から、裁判には出席せず、欠席裁判となる見通しだ。

 訴訟は朴槿恵(パク・クネ)政権下の2016年12月、元慰安婦ら20人が「精神的、肉体的苦痛を受けた」などとし、日本政府に約30億ウォン(約3億円)の損害賠償を求めたもの。訴訟に関し日本政府は今年5月、韓国政府に対し「却下されねばならない」との見解を伝え、主権免除の原則に基づき韓国の裁判を、日本政府が受けることは認められないとの立場を発表した。

 慰安婦問題をめぐっては、提訴1年前の15年12月に日韓両政府が「完全かつ不可逆的に解決」することを確認し合意済みだ。しかし、文在寅(ムン・ジェイン)政権となった韓国は日韓合意に基づき韓国で設立された元慰安婦のための「和解・癒やし財団」を今年、一方的に解散した。

 慰安婦問題をめぐり韓国の裁判所で日本政府が被告となる訴訟が審理されるのは異例で、日韓合意を完全に無視したものだ。韓国では民事訴訟であることから、韓国最高裁が昨年、日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟の「慰安婦版」とする見方も出ている。徴用工訴訟の確定判決の流れを受け裁判が進められれば、日韓関係を一層悪化させることになる。



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