【北京=三塚聖平】中国で「独身の日」と呼ばれる11日、インターネット通販各社が毎年恒例の値引きセールを行った。中国電子商取引(EC)最大手アリババグループの取引額は、11日午前0時(日本時間11日午前1時)のセール開始から1分36秒で100億元(約1600億円)を突破。1時間3分後には1千億元を突破し、同日午後4時31分(同午後5時31分)には昨年の2135億元を上回って過去最高を更新した。
米中貿易摩擦により中国経済の先行き不安が強まっている中での大規模セールとあって、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「消費者心理のバロメーターとして注目される」との見方を示した。
中国では11月11日を「独身の日」と呼び、アリババが2009年から特売を始めた。その後、競合他社も追随し、独身者に限らない国民的なセールスイベントに成長している。
各社や出店企業は大幅な値引きやイベントを仕掛け、現在では「中国の消費者の購買力を示すショーに変化した」(サウスチャイナ紙)。最近では10月の国慶節(建国記念日)や1~2月の春節(旧正月)と並ぶ商戦期と位置づけられ、特に「独身の日」に消費が集中する傾向が強まっていると指摘される。
ただ、1年以上続く貿易戦争により、中国では消費者心理の冷え込みを示す指標が全般的に目立つ。中国自動車工業協会が11日発表した10月の新車販売台数は前年同月比4・0%減と、16カ月連続で前年実績を下回った。