東日本各地に甚大な被害をもたらし、栃木県内では死者4人、負傷者23人を出した台風19号の豪雨被害から12日で丸1カ月。断水は全て解消し、鉄道も全路線が運転を再開したが、今も避難所生活を余儀なくされている被災者は79人に上り、暮らしや生業の再建はこれから正念場を迎える。
県が管理する河川で堤防が決壊したのは、13河川27カ所。市街地に氾濫の影響が及んだ県南部の3市には、11日時点で避難所が計6カ所残る。栃木市で70人、佐野市で6人、足利市で3人が不便な避難所生活を送っている。
県や市町が無償提供する公営住宅には、被災した203世帯が入居した。さらに提供戸数を増やすため、住宅の修繕などが進む。民間の賃貸住宅を県が借り上げる応急仮設住宅の提供も5日に始まり、8日までに41件の申し込みがあった。
企業が受けたダメージも大きい。浸水729件など計893件の被害があり、被害額は計約190億円。旅館・ホテルのキャンセルは1万2500件、約3万1千人分に上った。
国は、中小企業の復旧を支援するグループ補助金制度を県などに適用することを決めており、11月中に説明会が始まる。
県議会は、被害復旧や被災者の生活支援などを盛り込んだ事業費計約577億円の令和元年度11月補正予算案を8日に可決した。福田富一知事は同日の県災害対策本部会議で「次の災害に備えるためにも、一日も早く復旧を進めなければ」と述べるとともに、今回の災害対応の検証も進める考えを示した。