就職氷河期世代の苦悩:賃上げの恩恵届かず、格差拡大の懸念

春闘で満額回答が続く中、賃上げの恩恵が就職氷河期世代に届いていない現状が浮き彫りになっています。経済成長の光が一部にしか当たらない中、世代間格差の拡大が懸念されています。

賃上げの波に乗れない就職氷河期世代

トヨタ自動車など大手企業の満額回答が相次ぐ春闘。ライフや餃子の王将といった外食産業でも大幅な賃上げが実現しています。しかし、この賃上げの波は、中小企業はおろか、就職氷河期世代にも届いていません。連合は中小企業への賃上げ波及を課題として挙げていますが、世代間の格差も深刻な問題となっています。

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若年層重視の賃上げ、取り残される氷河期世代

企業の賃上げは、若年層に重点的に配分される傾向があります。昨年は30歳程度までの若年層への重点配分が34.6%だったのに対し、45歳以上のベテラン層はわずか1.1%。まさに就職氷河期世代が該当する年齢層です。バブル崩壊後の就職難を経験したこの世代は、非正規雇用やブラック企業で働くことを余儀なくされた人も少なくありません。

厳しい就職活動と不安定な雇用

ハローワークで介護系の就職相談に訪れた45歳の男性は、氷河期世代の一人。2001年に就職活動をした当時、希望の職種に就くことは困難でした。100社以上に履歴書を送った51歳の男性は、希望とは異なる印刷業に就職。正社員というだけで妥協せざるを得なかったといいます。資格を持っていても、契約社員として不安定な雇用を続ける44歳の女性もいます。手取り13万5000円という低収入で、生活保護ギリギリの生活を送っています。

格差拡大への懸念と自己責任論の呪縛

少子化対策として大卒初任給を30万円以上に引き上げる企業も出てきていますが、就職氷河期世代にとっては、さらなる格差を感じる現実となっています。「若い人を採用したいのはわかるが、ずっと苦労させられるのは苦しい」と45歳の男性は語ります。44歳の女性は、「自己責任」という言葉に苦しめられてきた過去を振り返り、現状を比べること自体が辛いと言います。

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今後の課題

就職氷河期世代の苦境は、日本社会全体の課題です。人材不足が叫ばれる中、経験豊富なこの世代の活躍の場を広げるための支援策が求められています。 キャリアアップのための研修や資格取得支援、正社員への転換支援など、多角的なアプローチが必要となるでしょう。企業側も、年齢に関わらず能力を評価する人事制度の導入や、多様な働き方を推進することで、氷河期世代の活躍を後押しすることが重要です。