国民的女優として多くの人に愛された、いしだあゆみさんが2025年3月11日、76歳で永眠されました。所属事務所が3月17日に発表しました。数々の名作に出演し、日本の芸能界に大きな足跡を残した彼女の功績を振り返り、その輝かしい人生に敬意を表します。
いしだあゆみさんの軌跡:歌手から国民的女優へ
大阪府出身のいしだあゆみさんは、1964年に歌手としてデビュー。『ブルー・ライト・ヨコハマ』(1968年)の大ヒットは、一世を風靡し、NHK紅白歌合戦にも10回出場するなど、歌謡界のスターとして輝きました。その後、女優としての活動に軸足を移し、『青春の門 自立編』(1978年)、『男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋』(1982年)、『火宅の人』(1987年)など、数々の名作映画に出演。日本アカデミー賞をはじめ、多くの賞を受賞しました。
いしだあゆみさん出演シーン
テレビドラマでも活躍の場を広げ、『金曜日の妻たちへ』は社会現象となるほどの大ヒットを記録。国民的ドラマ『北の国から』では、純(吉岡秀隆)の母親役を好演し、温かい存在感で視聴者を魅了しました。1989年にはNHK連続テレビ小説『青春家族』のヒロインを務め、国民的女優としての地位を確固たるものにしました。
いしだあゆみさんと家族:朝ドラ「てるてる家族」のモデルにも
2003年には、いしださん一家をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説『てるてる家族』が放送され、石原さとみさんがヒロインを務めました。自身の家族がモデルとなったドラマが制作されるほど、いしださんの家族は多くの人々に愛され、親しまれていました。料理研究家の母を持つ4姉妹の物語は、多くの視聴者の共感を呼び、大きな反響を呼びました。著名な料理研究家、村上昭子氏を彷彿とさせる、力強く明るい母親像は、まさにいしださんの家庭環境を反映したものだったと言えるでしょう。
最後の作品:『室井慎次』シリーズでの好演
2021年には旭日小綬章を受章。晩年も精力的に活動を続け、2024年に公開された『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』では、柳葉敏郎さん演じる室井の故郷・秋田にある商店の店主・市毛きぬ役を好演。これが最後の出演作品となりました。
いしだあゆみさん 最後の作品
所属事務所からの発表と葬儀について
所属事務所の発表によると、いしださんは甲状腺機能低下症のため、2025年3月11日、東京都内の病院で永眠。葬儀は近親者のみで行われ、お別れの会などは行われないとのことです。「故人の遺志」として、香典、供花、供物も辞退されています。
映画評論家の佐藤一郎氏は、「いしだあゆみさんの演技は、常に自然体で、観る者を惹きつける魅力がありました。彼女の出演作は、どれも日本の映画史、テレビ史に残る名作ばかりです。その存在は、これからも私たちの中で生き続けていくでしょう。」と語っています。
いしだあゆみさんの功績を偲んで
歌に演技に、マルチな才能で私たちを楽しませてくれたいしだあゆみさん。その優しく力強い歌声、そして数々の名演技は、永遠に私たちの心に刻まれることでしょう。心よりご冥福をお祈りいたします。