11月19日、『デイリー新潮』は、人気女優・今田美桜の所属事務所コンテンツ・スリーが、ケイダッシュグループの田辺音楽出版から約3億円の支払いを求める訴訟を起こされたという驚くべきニュースを報じました。この訴訟の争点となっているのは、今田美桜さんがこれまでに獲得してきたCM出演料のギャラです。本来であれば所属事務所に入るべき報酬が、なぜ「別の事務所」から巨額の請求を受けているのでしょうか。この一件は、芸能界特有の商慣習と、人気タレントの成功がもたらす複雑な問題を浮き彫りにしています。
芸能界に根付く「成功報酬型」のコネクションビジネス
芸能界には、表には出にくい「人脈」を活用したビジネスモデルが深く根付いています。ある芸能プロ関係者によると、今回の訴訟の背景には、2017年に今田美桜さんがコンテンツ・スリーに所属した際の取り決めが関係していると報じられています。コンテンツ・スリーはもともと映像制作やアニメ事業を手掛ける会社であり、タレントのキャスティング能力や広告営業のパイプがほとんどありませんでした。そこで、業界に太いパイプを持つ「田辺音楽出版」の役員を頼り、「CM出演料の3割を支払う」という成功報酬型の契約を結んだとされています。
女優・今田美桜のポートレート
無名タレントを成功に導く「キーマン」の存在
芸能界において、無名タレントのCM出演を決定するためには、広告代理店、大手事務所、テレビ局出身プロデューサーなど、強力なコネクションを持つ「キーマン」の存在が不可欠です。芸能記者は、今田さんのケースに限らず、芸能事務所間でキャスティングを融通し合ったり、タレントを紹介し合ったりするケースは非常に多いと指摘します。正式な契約書を交わすまでに至らなくても、将来的な「恩」を売るために、ある事務所が別の事務所のタレントに仕事を紹介することもあります。中には、複数の芸能事務所と契約を結び、テレビ局やイベント会社への代理営業を行うフリーの営業マンのような存在もいるほどです。
今田美桜の「売れすぎた」成功が訴訟に発展した背景
では、なぜ今田さんのケースは訴訟トラブルにまで発展してしまったのでしょうか。裁判でどちらの主張が正しいかが明らかになることですが、芸能界ではイメージダウンを避けるため、通常は訴訟沙汰を避ける傾向にあります。今回、これほど大きな話になったのは、やはり今田美桜さんが「売れすぎてしまった」ことが最大の要因だと言えるでしょう。その結果、CM契約料の3割という成功報酬が、「コネクション」だけで流すにはあまりにも巨額な金額になったと推測されます。もしこれが数十万円、数百万円程度の売上であれば、内々の話し合いで解決されることがほとんどです。
コンテンツ・スリーは11月23日の取材に対し、業務が順調であることを強調しつつ、以下のように回答しています。
「広告主様や各代理店様には、これまでと変わらずに温かいご支援を賜っております。一方でご存知の通り、事実関係と相違する点が散見されている記事が一方的に報じられており誠に遺憾でございます。現状では、個別の案件についてお伝えする事が出来ない状況でございますのでご容赦頂ければと存じます。憶測や一方的な情報に基づく報道がされないように関係者の皆様には正確な理解をお願い申し上げます」
芸能界のトラブル防止策と変わらない「人脈」の重要性
こうしたトラブルを防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。かつて「口約束」や「阿吽の呼吸」が当たり前だった芸能界も、徐々に変化しつつあります。明確な契約書を交わし、論理に基づいた関係を構築することが重要だと言われています。しかし、代理営業という慣習がなくなることはないでしょう。タレントのキャスティングは機械的に行われるものではなく、人間性や将来性など様々な要素が加味されて決定されます。そのため、「顔の広い」存在の重要性が失われることはないと考えられます。
この訴訟トラブルが、今田美桜さんの今後の活動に影響を与えないことを願うばかりです。芸能界の慣習と進化の狭間で起こった今回の問題は、多くの示唆を与えています。





