【北京=西見由章】ギリシャを公式訪問している中国の習近平国家主席は11日、アテネでミツォタキス首相と会談し、中国国有企業が買収したピレウス港の開発推進で合意した。習氏は「早期に地中海地域で最大のコンテナ中継港にしたい」と述べ、巨大経済圏構想「一帯一路」の要衝として役割を発揮させる考えを示した。また同日、ピレウス港を視察した。国営新華社通信が伝えた。
ミツォタキス氏は習氏との会談で、2009年以降の債務危機をめぐって「ギリシャ人民は中国の貴重な援助に感謝している」と言及。中国の核心的利益に関しては「揺るぎなく中国を支持する」と述べた。
中国は巨額資金による投資や自国の巨大市場を利用して、中東欧諸国への接近を強めている。フランスなどは欧州連合(EU)を分断する動きとして警戒しているが、ミツォタキス氏はこうした見方について「同意しない」と主張した。
習氏は同日、ミツォタキス氏の案内でピレウス港を訪問。「百聞は一見にしかずだ。一帯一路はスローガンでも伝説でもなく、成功した実践であり、すばらしい現実だ」と述べた。
地中海沿岸で最大規模のピレウス港は16年に中国国有の海運大手、中国遠洋海運集団(COSCO)が買収。09年の段階でコンテナ埠頭(ふとう)の運営権を握っていた。COSCOは今後、総額6億7千万ドル(約730億円)をかけて港の拡張工事などを行う方針。