大阪・関西万博の開幕が近づく中、会場整備に新たな不安要素が浮上しています。万博のシンボルとなる木製大屋根「リング」の足元で、海水の浸食による地盤の劣化が確認されたのです。夢洲という人工島ならではの立地を生かした「つながりの海」や「ウォータープラザ」といった水辺空間の演出が、思わぬ形で課題を突きつけています。
海水浸食、想定外の事態?
万博会場の一部には、海水を導入して水辺空間を創出する計画が進められてきました。しかし、日本国際博覧会協会の発表によると、「リング」の外側にある「つながりの海」と内側の「ウォータープラザ」の護岸で、盛り土の浸食が確認されたとのこと。想定していた波や水流の影響を上回る浸食だったようで、関係者からは驚きの声が上がっています。
alt万博会場の空撮写真。円形のリングとその周辺の「つながりの海」、「ウォータープラザ」の様子が確認できます。
専門家も疑問視、護岸の強度不足
建築エコノミストの森山高至氏は、この浸食現象について「洗掘の可能性が高い」と指摘。「通常、盛り土はコンクリートなどで補強する。なぜそのような対策が施されていないのか疑問だ」と述べています。夢洲の地盤の弱さは以前から指摘されており、今回の浸食問題は、万博開催への懸念をさらに深めるものとなっています。
開幕前からトラブル続出、万博開催に黄信号?
実は、夢洲の水はけの悪さは以前から問題視されていました。AERA dot.では昨年4月、雨が降ると会場予定地が水浸しになる様子を報じています。
alt護岸の浸食状況を示す写真。海水によって土砂が削り取られている様子がわかります。
雨天時の水はけ問題、作業員からも不安の声
取材当時、現場の作業員からは「雨が降ると池のようになる。万博期間中に豪雨になったらどうなるのか」と不安の声が上がっていました。今回の護岸浸食も、こうした地盤の脆弱性を改めて露呈させたと言えるでしょう。
万博の未来は?
開幕まで時間がない中、相次ぐトラブルに関係者は対応に追われています。万博の成功に向けて、地盤対策の強化など早急な対策が求められています。
夢洲という特別な立地で開催される大阪・関西万博。壮大な計画の裏側には、自然の力に対する備えの甘さが潜んでいたのかもしれません。今後の対応次第では、万博の未来にも影響が出かねない深刻な事態と言えるでしょう。