尹大統領弾劾審判、棄却・却下の見方強まる:国民の力内で期待感高まる

韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾審判の行方が注目される中、与党「国民の力」内部では、憲法裁判所による棄却または却下の可能性が高まっているとの見方が強まっています。当初の予想よりも決定が遅れている現状を受け、党内では楽観的なムードが広がりつつあります。

憲法裁判所の決定遅延、その背景とは?

憲法裁判所は未だ宣告日を発表しておらず、この遅延の背景には、憲法裁判官が法理適用や手続きについて、学界や政界から提起された様々な問題点を慎重に検討しているためだとする分析が有力視されています。国民の力内部では、この遅延は棄却・却下に向けた議論が進んでいる証左だと捉える声も出ています。

棄却論と却下論

党内では、尹大統領が宣言した「非常戒厳」は憲法・法律違反には当たらないとして、訴追自体が棄却されるという「棄却論」や、国会の弾劾訴追の手続きに不備があり、訴追が却下されるという「却下論」を唱える議員が増えています。国民の力の姜升圭(カン・スンギュ)議員は、ラジオ番組で「非常戒厳措置が国の秩序を脅かすほど深刻だったのか疑問だ」と述べ、棄却されるべきとの見解を示しました。また、劉相凡(ユ・サンボム)議員も国会で記者団に対し、「裁判官の意見が一致しないため決定が遅れている」と指摘し、「現状では棄却か却下しかあり得ない」と強調しました。

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国民の力、憲法改正に意欲

党関係者によれば、棄却・却下への期待感は日増しに高まっており、当初の悲観的なムードから一転、楽観的な雰囲気が漂っているとのことです。一部では、弾劾訴追が棄却された場合、大統領の任期短縮を可能にするための憲法改正が迅速に進められるとの見方も出ています。尹大統領自身も先月の最終意見陳述で、任期後半には憲法改正と政治改革に注力する意向を示しており、残りの任期に固執する考えはないことを表明しています。姜議員は、憲法改正は1年程度で実現可能だとの見通しを示しました。

野党の世論戦、その真意は?

一方、最大野党「共に民主党」は尹大統領の速やかな罷免を求め、世論への働きかけを強めています。国民の力内では、これは弾劾訴追が棄却・却下される可能性が高まったことへの焦りの表れだと分析する声もあります。ある重鎮議員は、「野党も棄却・却下の可能性を感じ、憲法裁判所に圧力をかけている」と指摘し、彼らの世論戦は不安感の表れだと主張しました。

今後の展開

今後の憲法裁判所の判断、そしてその後の政局の行方に注目が集まります。尹大統領の政治姿勢、そして与野党の駆け引きは、韓国政治の今後を大きく左右することになるでしょう。