ブラジル・ルラ大統領、BRICSは「反西側ではない」と強調:グローバルサウスとの連携強化に期待

ブラジルの大統領、ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ氏が、新興国グループ「BRICS」は反西側ではないと明言しました。日本との関係強化やグローバルサウスにおけるリーダーシップなど、ルラ大統領の外交戦略を読み解きます。

BRICSの真意:反西側連合ではない?

ルラ大統領は、BRICSは反米欧連合ではないと断言しました。BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国からなる新興国グループで、近年イランなどの加盟により勢力を拡大しています。ルラ氏はBRICSを「グローバルサウスをまとめる初めての組織」と位置づけ、経済協力を中心とした枠組みであることを強調しました。「反米欧」という見方は「思想的にばかげている」と一蹴し、西側諸国との対立構造を否定しています。

altブラジル大統領府で会見するルラ大統領altブラジル大統領府で会見するルラ大統領

グローバルサウスのリーダーとして:アフリカ諸国との連携強化

ルラ氏は、5月に50以上のアフリカ諸国の農業大臣を集めた会合を開催する予定を明らかにしました。ブラジルは日本の協力のもと、セラードと呼ばれるサバンナ地帯を穀倉地帯へと変貌させた実績を持ちます。この成功体験をアフリカ諸国と共有し、食糧安全保障や経済発展に貢献したい考えです。ルラ大統領は、グローバルサウスのリーダーとして、南南協力の推進に意欲を示しています。

日本との関係強化:安全保障分野での対話

日本はルラ氏を国賓として招き、安全保障分野での対話強化に乗り出します。グローバルサウスとの連携強化を目指す日本にとって、ブラジルとの関係強化は重要な戦略となります。ルラ氏は国連安全保障理事会の改革や国際通貨基金(IMF)などの国際機関改革についても言及し、日本との連携に期待を表明しました。

「脱ドル化」の行方:米国の警告とルラ氏の反論

BRICSでは「脱ドル化」の動きが加速しており、共通通貨構想も議論されています。これに対し、米国はドル離れを進める国に対して関税措置を警告しています。ルラ氏は米国の鉄鋼・アルミへの追加関税を批判し、保護主義的な政策に反対の姿勢を示しました。

altロシア中部カザンで開かれたBRICS首脳会議altロシア中部カザンで開かれたBRICS首脳会議

ルラ外交の展望:多極化世界におけるブラジルの役割

ルラ大統領は、グローバルサウスのリーダーとして、多極化が進む国際社会でブラジルの存在感を高めようとしています。BRICSの経済協力、アフリカ諸国との連携、そして日本との関係強化など、ルラ氏の外交戦略は世界情勢に大きな影響を与える可能性を秘めています。今後の動向に注目が集まります。