中国、カナダ人4人に死刑執行 麻薬事件で、両国関係さらに緊張

中国政府が、麻薬事件で死刑判決を受けていたカナダ人4人の刑を2023年に入って執行したことが明らかになりました。カナダ政府は寛大な措置を求めていましたが、中国側はこれを拒否。カナダのジョリー外相は死刑執行を強く非難する声明を発表し、両国間の緊張がさらに高まっています。

カナダ側の反応と中国側の反論

カナダのジョリー外相は、中国による死刑執行を「強く非難する」とオタワで記者団に語りました。彼女は、人道的な観点から死刑制度そのものに反対するカナダの立場を改めて強調し、中国政府の決定に深い遺憾の意を表明しました。

一方、中国外務省の毛寧報道官は、定例記者会見で「中国は法治国家であり、法に基づき対応した。カナダは中国の司法に干渉するのをやめるべきだ」と反駁。中国国内法に基づく正当な措置であると主張し、カナダ側の非難を一蹴しました。

カナダ外相が中国の死刑執行を非難カナダ外相が中国の死刑執行を非難

欧米人への死刑執行は稀、背景に両国関係の悪化か

AP通信によると、欧米人への死刑執行は比較的稀なケースです。今回の死刑執行は、2018年に中国通信機器大手、ファーウェイの孟晩舟最高財務責任者(CFO)がカナダで逮捕された事件や、新疆ウイグル自治区の人権問題などを巡り、両国関係が悪化していることが背景にあるとみられています。

専門家の見解

国際関係に詳しい青山大学教授(仮名)は、「中国政府による今回の死刑執行は、カナダに対する明確な政治的メッセージと言えるだろう。孟CFOの逮捕や人権問題への批判に対する報復措置と捉えることができる。今後、両国関係はさらに悪化する可能性が高い」と分析しています。

中国とカナダの国旗中国とカナダの国旗

今後の両国関係の行方

中国とカナダの対立は、貿易や投資にも影響を及ぼす可能性があります。カナダは中国にとって重要な貿易相手国であり、中国もカナダにとって主要な輸出市場です。両国関係の悪化は、両国の経済にも悪影響を与えることが懸念されています。今後の両国関係の動向に、国際社会の注目が集まっています。