トランプ前政権下で入国許可された中南米移民、在留資格取り消しに―最大50万人以上が国外退去の危機

米国では、トランプ前政権下で入国を許可された中南米諸国出身の移民に対し、バイデン政権が在留資格を取り消す決定を下しました。合法的な滞在資格を持たない場合、官報掲載日の25日から30日以内に米国を出国しなければなりません。この措置は最大で50万人以上に影響を与える可能性があり、期限は4月24日とされています。

バイデン政権、移民政策を転換

バイデン前政権は、人道的な理由や不法移民の減少を目的として、中南米諸国からの移民に一時的な滞在を認める制度を導入しました。この制度により、2022年10月から2025年1月までの間に、キューバ、ハイチ、ニカラグア、ベネズエラから53万2千人が米国に入国しました。

トランプ前大統領(ロイター=共同)トランプ前大統領(ロイター=共同)

しかし、現バイデン政権は、この政策を転換。前政権下で入国を許可された移民の在留資格を取り消すという厳しい措置を打ち出しました。米国移民局の広報担当官は、「この決定は、国境警備の強化と不法移民の流入抑制を目的としたものだ」と説明しています。

影響を受ける移民の不安と混乱

今回の決定は、影響を受ける移民たちの間に大きな不安と混乱を引き起こしています。多くの人々が、家族や仕事、生活基盤を築き上げてきた米国から強制的に退去させられる可能性に直面しています。移民支援団体は、この措置が人道的な危機を引き起こす可能性があると懸念を表明し、政府に対し再考を促しています。

合法的な滞在資格の有無が焦点

今回の措置の対象となるのは、前政権下で一時的な滞在を許可された移民のうち、他に合法的な滞在資格を持たない人たちです。グリーンカード(永住権)や就労ビザなどを保有している場合は、引き続き米国に滞在することができます。しかし、53万2千人の入国者のうち、どれだけの割合の人が別の合法的な滞在資格を持っているかは不明であり、正確な影響人数の把握は難しい状況です。

移民政策専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「今回の措置は、移民コミュニティに深刻な影響を与える可能性がある。政府は、影響を受ける人々への適切な支援策を講じる必要がある」と指摘しています。

今後の移民政策の行方

今回の決定は、バイデン政権の移民政策の今後を占う上でも重要な意味を持ちます。政権は、国境警備の強化と不法移民の流入抑制を最優先課題として掲げており、今後さらに厳しい措置が講じられる可能性も示唆されています。中南米諸国からの移民の流れがどのように変化していくのか、今後の動向に注目が集まっています。

今回の在留資格取り消しは、多くの移民の生活に大きな影響を与えることが予想されます。今後の移民政策の行方と共に、影響を受ける人々への支援策についても注目していく必要があります。