前財務大臣の加藤勝信氏(69)に記者が同行し、リラックスした「サ活」の現場で政治に関する深い見解を伺ったインタビュー企画の後編をお届けします。サウナで心身を「整えた」後、地下の食堂へと移動し、日本の未来を左右する政治の重要課題について、加藤氏が胸の内を明かしました。
高市政権への支持と「安倍政治」の継承
10月の自民党総裁選での結果について問われると、加藤氏は多くを語ろうとしませんでした。小泉進次郎氏の選挙対策本部長を務めた経験を持つ彼は、「もう終わったこと。敗軍の参謀、何も語らずです」と述べ、選挙が終わればノーサイドという政治家の姿勢を示しました。しかし、高市政権への支持は明確であり、「今はみんなで高市総理を支える立場」であると強調。小泉氏も防衛大臣として入閣している現状を指摘し、党内の一致団結を促しました。
加藤氏は、高市総理とは保守の政治家として考え方が近いとし、特に「安倍政治の継承者」を自任する高市氏と、自身も安倍氏に近い立場であったことを挙げました。両者は安倍氏を中心に保守政策を推進する議員連盟「創生『日本』」で共に活動してきた経緯があり、この共通の基盤が高市政権への理解と支持につながっていることを示唆しました。
「ピンチこそチャンス」:少数与党の可能性
加藤氏は、高市政権が直面する「少数与党」という状況を「ピンチだからこそ、逆に攻めの政策ができる」と前向きに捉えています。彼は、何かを変えようとする時、多数で安定している方が意外と難しい場合があると指摘しました。変革には現状維持を望む勢力との摩擦が必ず生じるため、安定期にはそのコストが強く感じられると語ります。
対照的に、不安定な時期は「新たなコストが感じづらい状態」であり、思い切った変革に挑戦しやすい環境が生まれるという持論を展開しました。このような状況下での成功は、逆に政権を安定させる可能性を秘めていると期待を寄せ、高市政権がこの「ピンチ」を「チャンス」に変えることができるかに注目が集まります。
加藤勝信元財務大臣がサウナでリラックスする様子
維新との連立と今後の課題
連立パートナーを公明党から日本維新の会へと変更したことについて、加藤氏は公明党との26年間の協力関係への感謝と連立解消への残念さを表明しました。しかし、日本維新の会との新たな連立が「高市政権に対する期待を盛り上げている」と評価。政権発足直後の高い支持率は、国民の期待の表れであると認識しています。
一方で、自民党自体への支持率が大きく上がっていない現状も冷静に見つめ、「まだ期待の段階であり、具体的な政策を実現していかないと失望に変わってしまいかねません」と警鐘を鳴らしました。物価高への対応や経済の力強い成長に向けた具体的な変革こそが、今の政権に求められていると語り、これが「チャンス」であると強調。加藤氏は、10月31日に「定数削減」を議論する党の政治制度改革本部の本部長に就任し、維新との連立合意文書に含まれる政策の具体化において重要な役割を担っています。
結論
加藤勝信元財務大臣の言葉からは、長年の政治経験に裏打ちされた深い洞察と、現状を打開しようとする強い意志が感じられました。高市政権が直面する困難を好機と捉え、新たな連立パートナーである日本維新の会と共に、物価高対策や経済成長といった喫緊の課題にどのように取り組んでいくのか、そのリーダーシップと今後の政策実現に注目が集まります。加藤氏のような経験豊富な政治家の手腕が、不安定な政治状況の中で日本の未来を切り開く鍵となるでしょう。





