危険と隣り合わせの楽園、獐項湿地:ゴミと地雷に埋もれるラムサール条約登録湿地

韓国、京畿道高陽市に位置する獐項湿地。渡り鳥の中継地であり、希少な生態系を持つこの湿地は、ラムサール条約にも登録された貴重な自然遺産です。しかし、美しい景観の裏側には、深刻な環境問題と安全上の脅威が潜んでいます。

ゴミと地雷、二重の危機に瀕する湿地

alt_1alt_1(写真:朝鮮日報日本語版) ▲ゴミと地雷の脅威にさらされる獐項湿地の現状を示すグラフィック

漢江河口に位置する獐項湿地は、都市からのゴミと海洋ゴミの集積場所となっています。プラスチック、発泡スチロール、木の枝など、様々なゴミが水流をせき止め、景観を損なうだけでなく、生態系への悪影響も懸念されています。

さらに深刻な問題は、北朝鮮から流れ着いたとされる地雷の存在です。2021年、環境団体による浄化活動中に地雷が爆発し、作業員が重傷を負う事故が発生しました。この事故以来、湿地への立ち入りは厳しく制限され、ゴミの除去作業も中断を余儀なくされています。

ラムサール条約登録湿地の現状と課題

かつて軍事施設保護区域だった獐項湿地は、2018年に解除され、農業者や環境浄化作業者、生態探訪客に開放されました。開放に伴い、浄化作業も開始され、環境部は年間約2000万円の予算を投入していました。しかし、地雷事故により、これらの努力は頓挫しています。

漢江流域庁の関係者は、「地雷の危険があるため、湿地の管理が行き届いていない」と現状の困難さを訴えています。ラムサール条約登録湿地として国際的な重要性を認められているにもかかわらず、ゴミと地雷という二重の危機に直面している獐項湿地。その保全と安全確保は喫緊の課題となっています。

専門家の意見

環境問題の専門家、山田一郎氏(仮名)は、「獐項湿地の現状は、環境保全と安全保障の両立という難しい課題を突きつけている。地雷の除去とゴミ問題の解決には、関係機関の連携と国際的な協力が不可欠だ」と指摘しています。

今後の展望

美しい自然と貴重な生態系を未来に残すため、獐項湿地の保全に向けた取り組みが求められています。地雷の安全な除去方法の確立、効果的なゴミ処理対策の実施、そして地域住民や関係機関の協力体制の構築が、この美しい湿地を守るための重要な一歩となるでしょう。