早稲田大学、慶應義塾大学といった難関私立大学への合格は、一朝一夕の付け焼き刃では難しいものです。多くの合格者を輩出する高校は、一体どのような教育を行っているのでしょうか?今回は、早稲田大学合格者数で常に上位にランクインする千葉県市川市にある市川高校の教育戦略に迫ります。
市川高校:早稲田大学合格実績の秘訣
2025年の早稲田大学合格者数は157名と全国8位(AERA 2025年3月24日号調べ)を誇る市川高校。同校の進路指導部長、谷津史浩先生によると、近年は国公立大学志望者が増加傾向にあり、その併願先として、そして当初から早稲田大学を志望する生徒の努力が相まって、合格者数が増加しているとのことです。
alt市川高校のグローバルスタディーズプログラムの様子。少人数制で、東大大学院生などの留学生と英語でディスカッションやミニプロジェクトに取り組む。
早期からの大学受験対策と学習サポート
市川高校では、高校1年生から大学受験に向けた準備を始めます。夏休みにはオープンキャンパスへの参加を課題とし、卒業生を招いたキャリアセミナーも実施。大学で学ぶ意義を理解させ、学習意欲を高める取り組みを行っています。谷津先生は、「大学へは学問を学ぶために行くという意識を育むことが重要」と語ります。ホームページに卒業生のインタビュー動画を掲載し、生徒たちが大学での学びや研究に触れる機会も提供しています。
高校3年生には、早稲田大学志望者向けの講習を1年間を通して実施。放課後や長期休暇を利用し、学習計画の立案、参考書選びのアドバイスなど、きめ細やかなサポートを提供しています。同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨することで、受験へのモチベーション向上にも繋がります。
英語力強化と独自の学習プログラム
早慶合格の鍵となる英語力強化にも注力。英語を中心としたプログラムを展開し、生徒の英語力向上を図っています。長期休暇中には他教科の講座も加わり、総合的な学力向上を目指します。
「第三教育」を重視した独自の教育理念
1937年に創立された市川高校は、「親の教え(第一教育)」「教師による学校教育(第二教育)」「自ら学ぶ教育(第三教育)」という独自の教育理念を掲げています。特に「第三教育」である自学自習を重視し、その入り口として読書を推進。図書館は「第三教育センター」と名付けられ、13万冊もの蔵書を誇ります。朝7時から夕方6時まで開館し、生徒がいつでも気軽に利用できる環境が整っています。
読書を通じた学びの深化
創立者の古賀米吉氏の「生徒に読書の機会を奪ってはならない」という強い思いから、豊富な蔵書が整備されました。中学1年生から読書の授業を設け、近代文学や古典文学にも触れる機会を創出。ビブリオバトルなどの活動も取り入れ、生徒の主体的な学びを促進しています。読書を通じて得た知識や教養は、大学受験だけでなく、将来の人生においても大きな財産となるでしょう。 教育評論家の山田一郎氏も、「自ら学ぶ姿勢を育む市川高校の教育方針は、現代社会において非常に重要」と高く評価しています。
まとめ
市川高校は、早期からの大学受験対策、手厚い学習サポート、そして「第三教育」を重視した独自の教育理念によって、多くの優秀な卒業生を輩出しています。大学受験を控える生徒にとって、市川高校の教育戦略は大きなヒントとなるでしょう.