農水省の資料によると、「備蓄米」は、1年に20トンずつ買い入れ、5年経ったものから、豚・牛など「飼料用」として市場に出回る。この度放出それる備蓄米は家畜用のものだったのか?経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が農水省に取材したーー。
備蓄米と一般米の品質に大きな違いはないとされるが…
政府はコメ価格の高騰を抑制するため、備蓄米の市場放出を進めている。3月中旬には初回の入札が実施され、15万トンのうち約14万トンが落札された。全国農業協同組合連合会(JA全農)などの業者が落札した備蓄米の引き渡しを開始し、順次市場に流通させる予定である。消費者への影響や流通の透明性をめぐる課題が浮上している。
政府が管理する備蓄米は、食料安全保障の観点から一定量が確保され、必要に応じて市場に供給される。今回の放出は、急激なコメ価格の上昇に対応するためのものであり、全国で流通させることで価格の安定化を狙っている。JA全農は落札した備蓄米を卸売業者へ販売するが、「備蓄米」と表示しないよう要請している。消費者の買い占めによる混乱を避ける意図があると説明する。流通の透明性を求める声もあり、消費者からは賛否が分かれる。備蓄米と一般米の品質に大きな違いはないとされるが、実際はどうなのだろう。筆者は、農水省に取材(3月18日)を行った。
ーー農水省の資料(※1)を読むと、従来放出される「備蓄米」は、1年に20トンずつ買い入れ、5年経ったものから、豚・牛など「飼料用」として市場に出回ると書いてある。今回のものも飼料用なのか。今年放出されるのは何年産のものなのか。
(農水省貿易業務課)
今回、放出つされるお米は、令和6年産と令和5年産のものを出しています。
ーー比較的新しいお米が放出されると?
(農水省貿易業務課)
比較的、ではなく、一番新しいものです。
ーー豚、牛云々の飼料用とはどういうことなのですか。
(農水省貿易業務課)
国内の需要、需給に影響を与えない、というのが基本方針です。ですので、5年経ったものから、食用でない用途として売っています。
ーー品質が食用に適さないというよりも、そういった(国内の需要、需給に影響を与えない)アプローチをするために、飼料用ということになっているのですね。