日本の組織犯罪を象徴する山口組。2015年の分裂から10年が経とうとしている今なお、6代目山口組と神戸山口組の抗争は終結の兆しを見せない。2024年末時点の警察庁データによれば、6代目山口組は約3300人、神戸山口組は約120人と、勢力差は27対1にまで拡大。抗争開始当初の2対1から大きく変化したものの、いまだ火種はくすぶり続けている。一体何が抗争終結を阻んでいるのか、その闇に迫る。
勢力図の変遷と抗争の激化
分裂当初、6代目山口組は約6000人、神戸山口組は約2800人だった。10年の間に6代目山口組は勢力を減らしたものの、神戸山口組の減少幅はさらに大きく、圧倒的な勢力差が生まれている。この勢力差の背景には、抗争による逮捕者や離脱者の増加、そして組織運営の困難さなどが考えられる。
山口組分裂抗争の勢力図
この10年間、抗争は激化の一途を辿り、数十人もの死傷者が出ている。抗争は拳銃を使った幹部殺害や自動小銃M16の乱射といった凶悪事件にまで発展。事務所への発砲、ダンプカーによる突入、火炎瓶攻撃、繁華街での乱闘など、その手口も多岐に渡る。抗争の影響は関西地方だけでなく、東京、東海、東北など全国に波及し、警察当局は警戒を強めている。
トップを狙った火炎瓶攻撃事件
2024年1月、神戸山口組組長・井上邦雄の自宅が火炎瓶攻撃を受ける事件が発生した。6代目山口組系元組員による犯行とみられ、抗争の根深さを改めて浮き彫りにした。井上氏の自宅は2022年6月にも銃撃されており、トップを狙った攻撃が続いている。
抗争終結を阻む要因
暴力団専門家の山田一郎氏(仮名)は、抗争の長期化について、「組織の面子や過去の遺恨、そして資金源をめぐる争いが複雑に絡み合っている」と分析する。抗争終結には、双方のトップによる話し合いや、警察による徹底的な取締りが必要不可欠だ。
闇市場での拳銃取引の活発化
抗争激化に伴い、闇市場での拳銃取引が活発化し、価格が高騰しているという警察当局の情報もある。これは抗争がさらにエスカレートする可能性を示唆しており、治安悪化への懸念が高まっている。
今後の展望
圧倒的な勢力差にも関わらず、抗争終結の道筋は見えない。警察当局は引き続き警戒を続けるとともに、暴力団排除に向けた取り組みを強化していく必要がある。市民も暴力団に関わらない、暴力団を利用しないという意識を持つことが重要だ。
この抗争の行方は、日本の治安に大きな影響を与えるだろう。今後の動向に注目が集まる。