朝ドラ「おむすび」低迷の真相:脚本の問題点を探る

NHK連続テレビ小説「おむすび」が3月28日に最終回を迎えます。橋本環奈さん主演の本作は、放送開始当初から賛否両論、視聴率も低迷。歴代ワースト記録更新も危ぶまれる現状ですが、一体何が問題なのでしょうか? 今回は、TVコラムニストの桧山珠美さんの分析を交え、その真相に迫ります。

震災の描き方に潜む違和感

「おむすび」は、阪神淡路大震災、東日本大震災、コロナ禍という3つの災害を軸に、ヒロイン・米田結の成長を描いています。しかし、桧山さんは「災害をテーマに据えながら、結自身と災害との向き合い方が希薄」と指摘します。

傍観者的なヒロイン

結は5歳で阪神淡路大震災を経験し、「どうせみんななくなってしまう」という虚無感を抱きます。これは震災の影響とされていますが、当時の結はまだ幼く、震災の記憶も断片的。避難所での些細な後悔が、彼女の性格形成にそこまで大きな影響を与えたとは考えにくい、と桧山さんは疑問を呈します。

橋本環奈橋本環奈

東日本大震災の描写にも同様の問題点が。結の妊娠発覚の翌日、震災が発生。生まれたばかりの赤ちゃんを抱え、商店街の人々に祝福される結のもとに、震災のニュースが飛び込んできます。産後間もない結はボランティアに参加できず、友人の活躍を聞くのみ。被災経験を語ることに意義はあっても、結自身が行動を起こす場面が少なく、受け身な印象が否めません。

震災描写の不足と物語の単調化

桧山さんは、3つの災害を盛り込みながらも、それぞれを深く掘り下げきれなかった点を指摘。「毎回月曜日に始まり金曜日に終わるというワンパターン化も目立ち、物語としての深みが不足している」と分析します。皮肉にも、ヒロイン不在の2週間の方が、緒方直人さん演じる親友の父親との対決など、物語に深みが出ていたと語ります。

まとめ:視聴者離れの原因とは?

「おむすび」の低迷は、震災という重いテーマを扱いながらも、ヒロインの成長や葛藤を十分に描ききれなかったことが原因の一つと言えるでしょう。 震災を背景にしながらも、ヒロインが傍観者的立場に留まり、物語に深みが欠けていたことが、視聴者離れにつながったのかもしれません。 今後の朝ドラ制作において、今回の「おむすび」の事例は、物語の構成やテーマの掘り下げ方について、貴重な教訓となるでしょう。