近畿大学や明治大学など、大都市圏の総合大学が大学志願者数ランキングの上位を占めるのが常でした。しかし、2025年の大学入試では、理工系私立大学の千葉工業大学が、近畿大学を抑え、初の全国1位を獲得するという驚くべき結果となりました。知名度では劣るとも言われてきた千葉工業大学。一体何が受験生を惹きつけているのでしょうか？大学受験業界で今何が起こっているのか、教育ジャーナリストの視点から紐解いていきます。
知られざる千葉工業大学の魅力
千葉県習志野市を中心に3つのキャンパスを構える千葉工業大学は、約1万人の学生が学ぶ工学系中心の大学です。今年の大学入試において、11年連続で志願者数1位だった近畿大学を抜き、16万2,005人（前年比1万9,360人増）という驚異的な数字を記録しました。これは、バブル期の1989年に早稲田大学が記録した史上最多の16万150人を超える数字です。
千葉工業大学のキャンパス
2位となった近畿大学の志願者数は15万7,563人。東京以外の、そして総合大学でもない理工系大学がトップになるのは極めて異例のことです。大学入試データ分析の専門家である豊島継男氏（仮名）も、「近年の大学受験業界の動向を鑑みても、これは非常に驚くべき結果です。千葉工業大学の改革への取り組みが、受験生に響いているのでしょう」と分析しています。
未来志向の教育改革が人気の理由
中学受験においても、埼玉県の開智学園が初の志願者数1位を獲得するなど、2025年は大学・中学入試ともにトップが入れ替わる記念すべき年となりました。 共通しているのは、いずれも東京近郊に位置する学校であるという点です。
中学受験塾スリースターズの三浦祐輝代表は、「近年人気を集める中学は、子どもの将来への期待値を高める『ワクワクする未来を見せてくれる教育』を実践している」と指摘しています。開智所沢、広尾小石川、三田国際、桜丘、日本工業大学駒場、佼成学園など、人気校は保護者のニーズを的確に捉え、入試制度や教育内容に反映させ、積極的に変化を遂げています。
千葉工業大学も同様に、受験生や保護者のニーズを的確に捉え、時代に即した入試制度の改定や学部の再編など、精力的な改革を進めてきました。塾関係者も「千葉工業大学の改革は目を見張るものがある」と高く評価しています。
千葉工業大学の卒業生には有名俳優も
千葉工業大学の躍進は時代の変化を象徴
千葉工業大学の躍進は、大学受験業界の大きな変化を象徴しています。学生たちは、単なる知名度だけでなく、未来への可能性を広げる教育を求めているのです。今後の大学選びにおいて、千葉工業大学の取り組みは、他の大学にとっても重要な示唆となるでしょう。
