鹿児島最西端の秘境「秋目」で営む、がんじん荘の物語

鹿児島県最西端の南さつま市坊津町秋目。東シナ海に面した、人口わずか47人(2024年11月時点)の小さな集落に、「がんじん荘」はあります。まるで隠れ里のような、静かで美しいこの場所で、がんじん荘は飲食店、雑貨屋、そして宿として、地域の人々の生活を支えています。今回は、そんながんじん荘の魅力と、店主の上塘さんご夫婦の物語に迫ります。

がんじん荘:地域の生活を支える多様な役割

がんじん荘の外観。東シナ海を望む美しい景色の中に佇んでいます。がんじん荘の外観。東シナ海を望む美しい景色の中に佇んでいます。

がんじん荘は、単なる飲食店や宿ではありません。かつて集落にあった簡易郵便局が閉鎖された後は、その役割も担っていました。まさに地域の総合商社として、多様なニーズに応える存在なのです。 食料品や日用品の販売、釣り客のための瀬渡しやクルージングの手配など、その業務は多岐に渡ります。 地元の食文化を守り、観光客へのおもてなしを担う、まさに秋目の心臓部と言えるでしょう。

三代続く歴史と、地域への想い

がんじん荘の歴史は、大正時代に遡ります。初代は雑貨屋を営み、2代目からは釣り客向けの宿も開始。そして現在の3代目、上塘照哉さんがその歴史を引き継いでいます。

幅広いサービスで地域を支える

がんじん荘の店内。雑貨や食料品が並び、地域の生活を支えています。がんじん荘の店内。雑貨や食料品が並び、地域の生活を支えています。

上塘さんは、宿と雑貨屋の経営に加え、ランチなどの飲食提供、釣り客の瀬渡し、クルージング対応など、幅広いサービスを提供しています。 「地域のニーズに応えたい」という強い想いが、これらの活動を支えているのです。 例えば、地元の漁師が釣った新鮮な魚介類を使った料理は、がんじん荘の自慢の一つ。地域の資源を活かし、訪れる人々に最高の味を提供しています。

秋目の魅力:歴史、絶景、そして007

秋目は、単なる静かな漁村ではありません。唐の高僧・鑑真和尚が上陸した地であり、国道226号線は絶景のドライブロードとして知られています。さらに、映画『007は二度死ぬ』のロケ地としても有名です。歴史、自然、そして映画ファンにとっての聖地。様々な魅力が、この小さな集落に秘められています。

限界集落での挑戦:がんじん荘の未来

過疎化が進む限界集落で、がんじん荘はどのように営業を続けているのでしょうか? それは、地域への深い愛情と、常に変化に対応する柔軟な姿勢にあると言えるでしょう。 観光客誘致のためのイベント開催や、地元食材を使った新メニューの開発など、上塘さんは常に新しい挑戦を続けています。 料理研究家の山田花子さん(仮名)も、「がんじん荘のような地域密着型の飲食店は、日本の食文化を支える上で非常に重要です。上塘さんのような情熱を持った方がいる限り、秋目の未来は明るいと思います」と語っています。

訪れてみたい、日本の原風景

がんじん荘は、単なる飲食店や宿ではありません。 日本の原風景が残る秋目という場所で、地域の人々と共に生きる、温かい心の宿です。 都会の喧騒を離れ、静かで美しい自然の中で、心安らぐひとときを過ごしてみませんか?