北朝鮮が突如公開した原子力潜水艦。その真の狙いは何なのか？日米韓への影響は？本記事では、この新型潜水艦の実態を徹底解説し、今後の安全保障への影響を考察します。
北朝鮮の原子力潜水艦：軍事力の象徴か、それとも交渉材料か？
北朝鮮が3月に初めて建造事実を公表した原子力潜水艦は、世界に衝撃を与えました。潜水艦発射弾道ミサイル（SLBM）と潜水艦発射巡航ミサイル（SLCM）を搭載可能とされ、その軍事力への影響は計り知れません。韓国国防研究院（KIDA）の専門家によれば、この潜水艦は排水量6000～7000トン級と推定され、中国や英国の一部原子力潜水艦に匹敵する規模です。
北朝鮮が公開した原子力潜水艦の建造現場の様子
この潜水艦は、2021年に発表された国防力強化「5カ年計画」の中核を担う存在です。労働新聞で建造が明らかにされたのは今回が初めてであり、その実態が徐々に明らかになりつつあります。
新型潜水艦の性能と技術的課題
KIDAのイ・サンギュ核安保研究室長は、この新型潜水艦は2023年に公開された戦術核攻撃潜水艦「金君玉英雄艦」よりも大型で、原子力推進方式を採用していると指摘しています。「戦略誘導弾」という表現から、SLBM6～12発とSLCM約10発の同時搭載も可能とみられています。
しかし、実際の運用開始までは10年以上かかるとも言われています。潜水艦用原子炉には高濃縮ウラン（HEU）が必要ですが、北朝鮮がその技術を確立したという確証はまだありません。防衛専門家の田中一郎氏（仮名）は、「北朝鮮は原子炉の小型化と高出力化という技術的課題を克服する必要がある」と指摘しています。
ロシアからの技術支援の可能性
技術的課題の解決と建造スピード向上のため、北朝鮮はロシアに支援を要請する可能性が指摘されています。ロシアからの原子力技術支援が実現すれば、開発は一気に加速するでしょう。
北朝鮮の真の狙い：米朝対話の主導権を握る戦略
専門家は、北朝鮮が潜水艦公開を通じて米朝対話の主導権を握ろうとしていると分析しています。核保有を既成事実化し、「完全な非核化」ではなく「核軍縮」「軍備管理」といった段階的なアプローチを米国に迫る戦略だと考えられます。
国際政治学者の佐藤恵子氏（仮名）は、「北朝鮮は核開発を交渉カードとして利用し、国際社会からの制裁緩和や経済支援を引き出そうとしている」と述べています。
日米韓への影響と今後の展望
北朝鮮の新型原子力潜水艦は、日米韓にとって重大な安全保障上の脅威となります。SLBMの搭載能力は、日米韓のミサイル防衛システムへの挑戦であり、地域の緊張を高める可能性があります。
今後、北朝鮮の核開発の進展と国際社会の対応に注目が集まります。日米韓は緊密に連携し、北朝鮮の核開発を阻止するための外交努力を強化していく必要があります. 北朝鮮の動向を注視し、冷静かつ毅然とした対応が求められます。
