アメリカの輸入車関税:中国BYDの躍進を後押し?

アメリカの輸入車関税強化は、世界の自動車メーカーに激震を与えています。韓国、日本、ドイツの自動車メーカーはもちろん、アメリカのメーカーも価格上昇の影響を受け、テスラを除けば苦境に立たされています。しかし、この状況を逆手に取り、利益を得る可能性のある企業が存在します。それは、中国の電気自動車メーカーBYDです。

関税の嵐が吹き荒れる自動車業界

トランプ前大統領が輸入車関税強化を発表して以来、GMやフォードといったアメリカ自動車大手の株価は軒並み下落しました。海外からの部品調達に大きく依存する彼らにとって、関税の影響は避けられないと市場が判断したためです。

日韓メーカーへの影響

現代自動車や起亜は、アメリカで販売する車の多くを韓国で生産しており、関税の影響を大きく受けることが予想されます。トヨタも同様に、アメリカ以外で生産した車を多く販売しており、関税による打撃は免れません。ポルシェやメルセデス・ベンツも多額の損失を被ると試算されています。

韓国の自動車工場の様子韓国の自動車工場の様子

生産拠点をアメリカに移すとしても、関税による価格上昇は購入者減少につながり、結果的に収益悪化、将来の投資環境の悪化、生産への支障といった悪循環に陥る可能性があります。

中国BYD:関税の恩恵を受ける存在

フィナンシャル・タイムズは、世界の自動車メーカーが関税問題に苦戦する中、BYDのような中国の電気自動車メーカーがさらに躍進する可能性を指摘しています。競合他社が関税対策に追われる間、BYDは価格競争力と革新的な技術を武器に、電気自動車市場でのシェア拡大を図ることができると考えられます。

BYDの躍進を裏付ける株価と技術力

トランプ前大統領の関税発表後、深セン証券取引所に上場されているBYDの株価は上昇しました。アメリカは既に中国製電気自動車に高率の関税を課しており、BYDはアメリカ市場への進出を断念せざるを得ない状況にありました。しかし、BYDは南アフリカ、ブラジル、インドといった新興国市場に注力し、その結果、昨年の売上高はテスラを上回りました。

BYDの電気自動車BYDの電気自動車

BYDの技術力も注目を集めています。5分間の充電で470km走行可能な充電システムや、全車種への自動運転システム搭載など、革新的な技術開発を進めています。

専門家の見解

韓国産業研究院のチョ・チョル研究委員は、関税の影響で世界の自動車メーカーがアメリカ以外の市場に活路を見出そうとするものの、既に中国の電気自動車メーカーが先行しているため、伝統的な自動車メーカーはさらに厳しい競争に直面するだろうと分析しています。

まとめ

アメリカの輸入車関税強化は、世界の自動車業界の勢力図を塗り替える可能性を秘めています。関税の逆風を受ける世界の自動車メーカーに対し、中国のBYDは新興国市場での成功と革新的な技術開発を背景に、更なる成長を遂げる可能性があります。今後の自動車業界の動向に注目が集まります。