ロシア第2の都市サンクトペテルブルクが、ウクライナからの大規模なドローン攻撃を受け、同市のプルコボ空港が一時閉鎖される事態となりました。この攻撃は、ロシアが国の威信をかけて祝う「ロシア海軍の日」の行事に影を落とし、治安上の懸念を浮き彫りにしています。ウクライナによるロシア領内深部への攻撃は常態化しつつあり、今回のサンクトペテルブルクへのドローン攻撃は、その中でも特に注目される出来事となりました。
サンクトペテルブルクへのドローン攻撃とプルコボ空港の混乱
27日、ウクライナのドローンがロシア西部、サンクトペテルブルクを攻撃しました。この事態を受け、同市の主要空港であるプルコボ空港は約5時間にわたり閉鎖され、航空便に大きな影響が出ました。具体的な影響としては、57便が遅延し、22便が他の空港への迂回を余儀なくされましたが、同日中には空港の運用は再開されました。この空港閉鎖は、ロシアの都市機能に直接的な影響を与えるものであり、ドローン攻撃の深刻さを示しています。
サンクトペテルブルクの海軍の日に警備艇で移動するロシアのプーチン大統領
「ロシア海軍の日」のパレード中止とプーチン大統領の動向
ドローン攻撃と同時期に、サンクトペテルブルクでは「ロシア海軍の日」を記念する海上軍事パレードが予定されていました。しかし、治安上の懸念からこのパレードは中止が決定され、ロシア大統領府のペスコフ報道官もその理由を認めました。このような状況下でも、プーチン大統領は同日、サンクトペテルブルクにある海軍本部を警備用船舶で訪問し、太平洋、北極海、バルト海、カスピ海に展開する150隻を超える艦船と1万5000人規模の軍人が参加した訓練を視察しました。公開されたビデオ演説では、「本日の祝日を私たちは仕事場で迎え、艦隊の戦闘態勢が準備万端なのを確認している」と述べ、国防への意識の高さを示しました。
ロシア側の迎撃と被害状況
ロシア国防省の発表によると、27日にはウクライナの固定翼ドローン291機を撃墜したとされています。サンクトペテルブルク周辺のレニングラード州のアレクサンドル・ドロズデンコ知事は、州内の上空で10機超のドローンが撃墜され、その落下した破片によって女性1人が負傷したことを明らかにしました。ドロズデンコ知事は、27日0840GMTに全てのドローンを撃退したと表明しており、ロシア側による迎撃が効果的に行われたことを示唆しています。
過去のドローン攻撃との比較
今回のドローン攻撃は、ウクライナによるロシア領内への攻撃としては初めてではありません。今年5月9日の第2次世界大戦での旧ソ連のナチスドイツに対する勝利80周年記念パレードを控えた5月7日にも、ウクライナは大規模なドローン攻撃を行っていました。その際に撃墜されたドローンは524機に上り、今回の291機と比較すると、規模としては小さかったものの、ロシアの重要都市を標的とした攻撃が継続している現状が浮き彫りになりました。
今回のサンクトペテルブルクへのドローン攻撃は、ウクライナがロシア本土への攻撃能力を継続的に示していることを改めて明確にしました。ロシアの防空システムが相当数のドローンを迎撃したとはいえ、主要都市の空港閉鎖や象徴的なイベントの中止を余儀なくされたことは、ロシアにとって無視できない安全保障上の課題を突きつけています。
参考文献
- Reuters. (2025, July 27).
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