平成12年12月に東京都世田谷区上祖師谷の宮沢みきおさん=当時(44)=方で一家4人が殺害された事件で、警視庁が現場住宅の取り壊しを遺族側に打診したことが14日、関係者への取材で分かった。証拠保全のため保存されてきた建物を取り壊す理由について、警視庁は「老朽化により倒壊などの危険性がある」と説明。3D映像による建物の記録化などで捜査上の支障はないとし、遺族側と協議を続けている。
現場の土地は12年3月、都が隣接の都立公園の拡張のために買収し、一家は引っ越しの猶予期間中だった同12月に殺害された。関係者によると、当時、警視庁が遺族に「証拠保全上、維持が必要」と住宅の取り壊しを延期するよう要請。遺族が都と協議し、保存が続けられてきたという。
外壁の亀裂や屋内の雨漏りなど老朽化が進む中、警視庁で地震や台風の際に倒壊するなどして公園の利用者らが巻き込まれることへの懸念が高まり、今年3月に遺族側に取り壊しを正式に打診。6月に都の担当者も協議に加わったという。
警視庁は遺族側に対し、建物内で犯人の指紋、DNA型など必要な証拠を集め終わり、現場の状況の捜査書類化と3D映像による記録化などを実施したと説明している。
■世田谷一家殺害事件
平成12年12月30日深夜、東京都世田谷区上祖師谷の会社員、宮沢みきおさん(44)方で発生。みきおさんと妻の泰子さん(41)、長女のにいなちゃん(8)、長男の礼君(6)=年齢はいずれも当時=が包丁で刺されるなどして殺害された。7年の八王子スーパー強盗殺人事件、8年の柴又女子大生殺人放火事件と並び警視庁管内の「平成の三大未解決事件」とされ、三大事件の中では唯一、現場建物が残っている。
遺族葛藤「4人の御霊どう思うか」 世田谷一家殺害事件の現場住宅が取り壊し