かつて家族の一員といえば「犬か猫」が主流でしたが、現代社会では都市部を中心に、その常識が変わりつつあります。集合住宅での飼育のしやすさや、共働き世帯、単身者、子育て中の家庭といった多様なライフスタイルに寄り添う存在として、「犬猫以外」の動物たちが注目を集めているのです。本稿では、制約の多い日常の中で育まれる、ささやかでありながら確かな動物との絆に焦点を当て、特にユニークな存在である「スケボー亀」の物語をご紹介します。
ネットを賑わす『スケボー亀』軍曹くんの登場
スケートボードに乗り、床を軽快に駆け巡る亀。その姿は一度見たら忘れられない衝撃と、思わず二度見してしまうほどのシュールさを兼ね備えています。猫を追いかけるかのように、斜め前方に首を傾け、口をへの字に結び、まるでボディボードを漕ぐように四本の足で床を掻き進む。方向転換もお手の物で、その動きは見る者を魅了します。この驚くべき『スケボー亀』の正体は、あめちさん(仮名)が3年前の夏、アスファルトの上で「干し亀」状態になっているところを保護したクサガメの「軍曹くん」です。彼の特異な行動は、2023年10月に突如としてネット上で大きな話題となり、多くの人々の関心を集めました。
スケートボードに乗り、前進するクサガメの軍曹くん。あめちさん提供のこの一枚は、彼のユニークな日常を象徴しています。
知られざるクサガメの生態と魅力
軍曹くんの種である「クサガメ」は、漢字で「草亀」または「臭亀」と表記されます。中国大陸を原産とするこの亀は、危険を感じた際に強烈な臭いを発することから「臭亀」の名が付いたとされています。しかし、飼い主のあめちさんによると、軍曹くんは全くの無臭。しいて言えば水道水の匂いがする程度だと言います。多くの方が東京ディズニー・シーの人気アトラクション『タートル・トーク』に登場する陽気なウミガメのクラッシュをイメージするかもしれませんが、クサガメのビジュアルは大きく異なります。クラッシュが欧米人のような陽気さを持つとすれば、クサガメは中国の仙人のような、どこか神秘的な面持ちをしています。水陸両用の足には大地を這うための鋭い爪が生え、硬質でざらついた肌は、彼らが爬虫類の一員であることを強く印象づけます。その独特な見た目から、「かわいい」と感じるまでに時間を要する人も少なくないかもしれません。一般的にオスは体長15cm程度、メスはさらに大きく25cm程度まで成長します。そして、その寿命は20年から40年にも及ぶとされ、一度飼い始めると、人生の伴侶よりも長い付き合いになる可能性がある、非常に長寿なペットなのです。
まとめ
「犬でも猫でもない家族」として、私たち人間に新たな喜びと深い絆をもたらしてくれる動物たち。クサガメの軍曹くんのユニークな物語は、従来のペットの枠を超え、多様な動物との共生がもたらす可能性と、そこに存在する「たしかなつながり」を改めて教えてくれます。彼らとの暮らしは、日々の生活に彩りと発見を与え、私たち自身の視野を広げてくれることでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 「犬猫だけじゃない!スケボーに乗る亀「軍曹くん」が示す、令和の新ペットトレンド」 (2025年10月29日).





