高齢化が進む日本では、高齢者を狙った詐欺事件が後を絶ちません。中でも、マッチングアプリを悪用した詐欺は増加傾向にあり、深刻な社会問題となっています。この記事では、72歳男性がマッチングアプリで知り合った女性に騙され、老後資金3000万円を失った事例を通して、その巧妙な手口と対策について解説します。
マッチングアプリ詐欺の実態:72歳男性の悲劇
72歳の川村正義さん(仮名)は、アルバイトと年金で生活する独身男性。娘と孫との交流が生きがいでした。ある日、孫との会話からマッチングアプリの存在を知り、好奇心から登録。そこで出会った50代前半の女性と親密な関係を築くようになります。女性は優しく、気遣い上手で、川村さんはすっかり心を許してしまいました。しかし、この女性こそが詐欺師だったのです。
マッチングアプリでやりとりをする高齢男性のイメージ
女性は「結婚したいが、お金が必要」「必ず儲かる投資がある」などと言って、川村さんから複数回にわたり合計3000万円を騙し取りました。その後、音信不通となり、川村さんは初めて詐欺に遭ったことに気づきます。娘に相談したところ激しく叱責され、孫にも呆れられてしまいました。警察や弁護士に相談するも、お金を取り戻すのは難しいと言われ、途方に暮れる川村さん。老後の生活設計は大きく狂い、家族にも顔向けできない状況に陥ってしまいました。
高齢者を狙うマッチングアプリ詐欺の手口
高齢者を狙ったマッチングアプリ詐欺は、巧妙な心理操作が特徴です。犯人は、孤独な高齢者の寂しさや承認欲求につけ込み、巧みに信頼関係を築きます。優しい言葉や気遣いを重ね、あたかも真剣な交際を望んでいるかのように振る舞います。そして、十分に信頼を得たところで、金銭の要求を始めます。「病気の治療費が必要」「事業に失敗してお金に困っている」など、様々な理由をでっち上げて、被害者からお金を騙し取ります。
巧妙化する手口:投資詐欺との組み合わせ
最近では、マッチングアプリで知り合った相手に投資話を持ちかけ、高額な投資金を騙し取るケースも増えています。「絶対に儲かる」「元本保証」などの甘い言葉で誘惑し、被害者を巧みに騙します。川村さんのケースも、投資話を持ちかけられたことがきっかけで、多額の送金に至ったと考えられます。
マッチングアプリ詐欺の対策
マッチングアプリ詐欺の被害を防ぐためには、以下の点に注意することが重要です。
個人情報の取り扱い
- 安易に個人情報を教えない
- 写真や動画の送信は慎重に
- 住所や電話番号などの重要な情報は絶対に教えない
金銭のやり取り
- お金の貸し借りは絶対にしない
- 投資話には乗らない
- 高額なプレゼントの要求には応じない
不審な点があればすぐに相談
- 相手の言動に不審な点があれば、家族や友人に相談する
- 警察や消費者センターに相談する
専門家の意見:NPO法人「高齢者詐欺被害防止協会」代表理事 佐藤一郎氏(仮名)
「高齢者を狙ったマッチングアプリ詐欺は、巧妙化・複雑化しており、被害は増加の一途を辿っています。高齢者自身はもちろんのこと、家族や周囲の人々も注意深く見守り、被害防止に努めることが重要です。」
まとめ:大切な老後資金を守るために
マッチングアプリは、新たな出会いを提供する便利なツールですが、同時に詐欺の温床となる危険性も孕んでいます。特に高齢者は、詐欺師の巧妙な手口に騙されやすい傾向があります。この記事を参考に、マッチングアプリ詐欺の手口と対策を理解し、大切な老後資金を守りましょう。