NHK連続テレビ小説「おむすび」が3月28日に最終回を迎えました。橋本環奈さん演じるヒロイン・結の栄養士としての成長と、人々との繋がりを描いた青春物語でしたが、平均視聴率は13.1%と低迷し、朝ドラ史上最低記録を更新することが確実視されています。様々な要因が分析される中、視聴者の間では最後まで解決されないまま残った「2つの謎」が話題となっています。本記事では、これらの謎と低視聴率の背景を探り、「おむすび」が残した課題を考察します。
謎1:メインビジュアルと物語の乖離
「おむすび」のメインビジュアルは、白衣姿の結が学校の教室で、おむすびの乗った皿を手にしている構図でした。このビジュアルから、学校で働く栄養士の物語を想起した視聴者は少なくなかったでしょう。しかし、実際の物語では、結は企業や病院で栄養士として活躍し、学校での勤務は描かれませんでした。
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教室のシーンは、阪神・淡路大震災時に結たちが避難していた学校として登場しており、全く無関係というわけではありません。しかし、メインビジュアルとの関連性が希薄で、多くの視聴者に混乱を与えたことは否めません。ビジュアルと物語の整合性は、視聴者の期待値を管理する上で重要な要素と言えるでしょう。例えば、料理研究家のAさんは、「メインビジュアルはドラマ全体の印象を決定づける重要な要素。視聴者の期待を裏切らないよう、物語の内容を的確に反映させる必要がある」と指摘しています。
謎2:存在が示唆された叔母たちの行方
もう一つの謎は、結の父・聖人の妹2人、つまり結の叔母の存在です。物語終盤の回想シーンで、2人の叔母が登場し、名前まで明かされました。しかし、その後、叔母たちは物語に一切登場せず、祖父の葬儀にも姿を見せませんでした。
結の家族は福岡の糸島に移住しますが、その際も叔母たちは関与していません。物語に影響を与えないのであれば、そもそも叔母たちの存在を示唆する必要があったのか疑問が残ります。ドラマ評論家のBさんは、「伏線を回収しないまま物語が終わってしまうと、視聴者は置いてけぼりになったような気持ちになる。オリジナルストーリーだからこそ、細部まで丁寧に作り込む必要がある」と語っています。
低視聴率の背景:ギャル設定と未回収の伏線
「おむすび」は「ギャル推し」の要素が強かったことも、低視聴率の一因として挙げられています。ギャル文化に馴染みのない視聴者層には、共感を得にくかった可能性があります。さらに、前述の未回収の伏線も、視聴者の不満を増幅させたと考えられます。
物語のテーマやキャラクター設定は、視聴者の共感を得られるかが重要です。視聴者層の分析を怠ると、期待外れの結果に繋がる可能性があります。「おむすび」は、これらの要素が複雑に絡み合い、低視聴率という結果を招いたと言えるでしょう。
まとめ:令和の迷作となるか?
「おむすび」は、メインビジュアルと物語の乖離、存在が示唆された叔母たちの行方など、未解決の謎を残したまま最終回を迎えました。これらの要素が低視聴率に繋がった可能性は高く、「令和の迷作」として記憶される可能性も否定できません。
「おむすび」の事例は、ドラマ制作における視聴者とのコミュニケーションの重要性を改めて示すものとなりました。視聴者の期待に応え、共感を得られる作品作りが、今後のドラマ制作において求められるでしょう。